3.0点
20代のフランキーは、映像作品をYouTubeにアップしながら。 寂れたコメディバーで生計を立てる日々に、嫌気がさしていた。 ある日、ネズミの着ぐるみを着たパフォーマーの愉快な男と出会う。 リンクと名乗った彼は、天才的な話術の持ち主だったことに驚く。 面白いと思ったフランキーは、彼の動画を撮り、勝手にアップする。 すると、再生回数が増えて話題となったので、彼を起用する事に。 カリスマ性に魅了され、本格的に動画制作をしようと持ち掛ける。 バーの同僚で作家志望の友人、ジェイクも仲間に巻き込み、活動開始。 フランキーを演じた、イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘、マヤ・ホーク。 ちゃんと意識して見たのは初めてかも。さすが、可愛いし華がある。 リンクは、自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗る。 破天荒でシニカルな言動を繰り返す動画は、かつてない再生数といいねを記録。 リンクは、瞬く間に人気YouTuberとなり、注目され話題の人となる。 制作に携わるフランキーたちも含め、SNS界のスターダムを駆け上がる。 リンクを演じたアンドリュー・ガーフィールドが、見事な怪演の数々。 胡散臭いけど、どこか魅力的で、クレイジーで危うげで目が離せない。 弁舌巧みに人々の心情を操る彼は、スターかペテン師か何者なのか。 掴みどころがなく神秘的なところも、魅力の一つでキャラが強烈なインパクト。 動画投稿サイトらしく、加工された映像などで演出してあるのも面白い。 ネット全盛期のイマドキらしく、全てを支配されるような怖さがある。 刺激的な日々と並行して、フランキーとリンクが恋に落ちるのは素敵。 二人が恋愛に発展するのは、やっぱりね、と必然のような感じだった。 薄々気付きながらも・・・と、微妙な立場のジェイクとの奇妙な関係性。 後半は、3人の関係性が狂い、それぞれに溝が出来る状態に発展。 名声を得たリンクだが、いつしか自身が猛毒と化し、人格を蝕まれていく。 ネットユーザーは不安定で、気まぐれで移り気ですぐに飽きるもの。 より過激な事をしないと世間は注目しないが、当然そこには批判も伴う。 善行より悪い事の方が、より知名度も上がる。世は刺激に飢えている。 ある出来事から、ジェイクはリンクに怒り、呆れ、ついに離脱する。 リンクの野心は狂気となって暴走し、やがて痛烈な批判を浴びる事に。 インフルエンサーやYouTuberが集まり、討論会を開催するのだが。 ここでもとんでもない奇行に走り、追い出されるのが衝撃的で笑った。 そしてついに、リンクがかつて晒した事が原因で、ある悲劇が起きる。 フランキーはジェイクからリンクの正体を聞き、ショックを受ける。 初めて知る多くの事実に戸惑うフランキーだったが、一方のリンクは・・・。 ラストのパフォーマンスは、毒っ気に満ちて破滅的なのにお見事だった。 謝罪したうえで、大衆を非難しながらも、いつしか味方にする手腕。 確かに、ネットの匿名性ほど、ズルくて適当でいい加減なものはない。 ネットのメリットと同時に、盲点を鋭く突く狡猾さはスゴイと思った。 こうなると、誰も後戻りできない皮肉は切ないが、それこそがリアル。 ラストショットのリンクの表情は、やっぱりおぞましくてゾッとした。 虚構渦巻くネットの世界に翻弄される、愚かさや危うさを感じさせた。 ネットの依存性による問題提起をし、警鐘を鳴らしている意図は分かるのだが。 勝手に暴走したなれの果てと、振り回されて人生崩壊した愚かな人々。 面白いかというと微妙で、イマイチ話に引き込まれないし盛り上がれなかった。