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信虎
2021年11月12日公開

信虎

PG121352021年11月12日公開

京都の歴史好き

5.0

京都発の本格時代劇の登場

私は長年京都に暮らす歴史好きの年寄りだが、映画「信虎」が京都にゆかりの深い作品であることは、京都新聞の記事で知っていた。京都の茶道具販売や出版事業を営む社長が、沈滞する時代劇を再興するという志をもって製作した映画だという。いまどき、そんなことを考えている人間が作る映画とは、どんな作品なんだろうと関心を持っていた。 実際に映画館に足を運んでみると、その映像のリアリティに驚いた。もちろん映画なので、フィクションの部分はあるだろうが、今から450年ほど前の戦国時代とはこんな感じだったのだ、と思わせる妙な迫力があった。 信虎という人物が信玄の父で、信玄に甲斐を追放された人物、くらいの知識はもっていたが、信虎が京都に15年も住んでいたことは知らなかった。調べてみると、信虎が京都に来たのが1558年、帰郷のきっかけとなった信玄死去は1573年。300年続かないと京都人とは言えないと巷間言われているが、15年も住めば立派な“京都の人”ではないか。信虎という人物に急に親近感が涌いた。 この社長がこの映画を作った背景には、東映・松竹の時代劇がマンネリ化し、採算をとるのが難しくなっている状況がある。かつて“映画のまち”として、市内に多くの撮影所があった京都だが、いまや見る影もない。このまちから映画の火が消えてしまうと、スタッフや専門職人がいなくなり、時代劇を京都で製作できなくなる。そんな危機感から、居ても立ってもいられなくなって、この映画製作に至ったのではないか、と想像する。その心意気やよし。ロケの大半は京都で行われたと聞く。京都の武将でもある「信虎」を主人公にした、京都発の映画の登場に拍手を贈りたい。

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