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信虎 (2021)

監督
金子修介
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3.61 / 評価:103件

肩の力の抜けた戦国バックヤードムービー

  • yam***** さん
  • 2021年11月24日 15時32分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

秘術を用いて元禄時代に転生し柳沢吉保(柏原収史)となった(らしい)信虎は将軍綱吉に働きかけ、めでたく武田家再興に成功。
柳沢吉保は語り手として自分の子に元亀天正時代の信虎晩年の話を語って聞かせる。
語りの中の老いた信虎(寺田農)はさらに、若き日の自分(石垣佑磨)の武功を周囲に語って聞かせる。
それらの物語を令和時代の私たちがスクリーンを通して見上げている。

本作は、ちょっとややこしい構造になっています。

物語の中心は、信玄没後に高遠城に戻った老信虎が孫の勝頼や家臣たちと対立するさまを描いています。
かつて息子と家臣に捨てられた自分を「無人斎」、それでも生き抜いてきた自負で「道有」と自称します。
老いた彼は「なんとっ!」と叫ぶ、「大儀である」とねぎらう、人の話を聞く、思い出話を聞かせる、手紙を書く、秘術を使う、飲み食いする、猿をなでる以外には何もしません。
源氏の流れをくむ武田家の滅亡を防ごうと執念を燃やす信虎ですが、彼の病没後、願い虚しく武田家は滅亡に向かってしまいます。
京の通りにさらされた勝頼父子と家臣たちの首を見て満足気に笑う信長。
派手な合戦シーンはありませんが、戦国の日常を覗き見するような、歴史のバックヤードツアーを見せられているような不思議な印象を受けました。

「武将の髷、衣装、甲冑、旗、木曽馬といった各場面のディテールの他、所作まで、戦国時代の再現を試みた”史実”に基づくリアリティを徹底追及した意欲作」「甲陽軍鑑』に基づいたセリフも忠実に再現しました」と宣伝文句にありましたが、たしかに美術もキャストも演技も音楽もすごくよかったです。
ただ、映画のテーマと脚本は面白いと思えませんでした。

「黒澤映画を目指し、リアリティを徹底的に追求した本格時代劇」
「本物の「戦国時代」、本当の「武田氏」を再現」
「製作費は違えど、黒澤明監督作品を目指し、この映画で「戦国時代劇」を変えようという意気込みで製作しました」

黒澤時代劇を目指したというには、娯楽性とドラマ性が欠けているように感じます。武田家にも古美術にも茶の湯にも縁もゆかりもない自分には本作の面白みは伝わらないのかもしれません。

「人を喰った様なライト感覚時代劇」
「肩の力の抜けた戦国バックヤードムービー」
本作を観たあと、そういったコピーが浮かびました。


「家・墓・領地や田畑」を守り伝えるという価値観を大切にしてきた戦前までの日本人。
戦後育ちの我々は、いかにそれらを捨て去るかが重要なテーマになってしまいました。
日本の社会はゆっくりとですが、コミュニティも家も姓も家族も墓も田畑も、全てを捨て去る方向に動いている気がします。
ではその先に何が残るのか?
因習から解放され自立した幸福な人生か、自由という名の空虚な深淵か。
多すぎる選択肢は本当に人を幸せにするのか。
保守と革新の相克はやまず、大切なものは失ってみないと気づかない。
夫婦別姓の是非、皇室の存続や皇族の結婚問題に揺れる令和の日本。
そんな時代に「家の存続」というテーマの時代劇映画は自分にどう響くのか!?

→ 響きませんでした…

「人望厚い名将」亡き後の、「人望薄い」父と息子の苦悩というテーマに絞ったら、もっと現代に通じる面白い話になったのではないでしょうか。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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