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オペラ座/血の喝采

オペラ座/血の喝采

TERROR AT THE OPERA/OPERA

95

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3.0

高原では少女が走り、変態がそれを追う。

 代役としてオペラ【マクベス】へと 出演したベティ。  しかし、その歌声を序奏とする様に 不気味な連続殺人が始まっていく。    ついには彼女が襲われ、自由を奪われた 彼女の瞳の前で凄惨な殺人事件が起こされる・・・。   ----------------  スティディカム撮影が嬉しくて仕方なかったので しょうか、これでもかと多用した画作りは少し くどいものの、なかなか面白い物となっているのは事実。  時折印象的な場面を、画面上に映し出します。    また、フルチを思わせる接写映像も効果的に 使われており、特に一度見れば忘れないであろう、 ベティが瞼に貼られた針により、瞼を閉じる事を 禁じられる場面では、その効果の程を観る人は 実感する事になると思います。  しかし肝心の物語はその編集のせいもあって、 ちょっと各要素が作品の中で「ちらかっている」 という感じで、物語の進み方に違和感が目立ちます。    それは登場人物の言動の不自然(不可解)さで あったり、説明無く舞台を移していく落ち着きの 無さであったり、と独りよがりな作りであるのは、 イタリアンホラーお約束のテイストと言えるかもしれません。  けれどラストで突然スイスの高原で繰り広げられる、 ベティとアランの追いかけっこは、殺人という ネガティブな要素と、余りにも青い空と緑の山肌の 不似合いな組み合わせが、可笑しくも不気味で不安な シュールさを生み出しています。 (この場面で私の頭の中に鳴り響いた音楽は【森のくまさん】  だったというと、そのシュールさの一端は伝わるでしょうか。)   また、アルジェント作品に感じる事の一つとして 「映像と音楽の組み合わせのミスマッチ」があるのですが、 本作でも映画音楽らしからぬ曲が多用されているのが 作品にとってマイナスになっている気がして残念です。  しかし理路整然とした作品が決して持たない 「ひらめきの映像化」と言えるような自由さはアルジェントの 魅力なのかもしれません。

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