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ただ悪より救いたまえ
2021年12月24日公開

ただ悪より救いたまえ

DELIVER US FROM EVIL

PG121082021年12月24日公開

Dr.Hawk

4.0

ネタバレパスポートの日本名など、芸が細かすぎる

2021.12.30 字幕 アップリンク京都 2020年の韓国映画(108分、PG12) 義兄を殺された殺し屋が殺し屋を追うアクション映画 監督&脚本はホン・ウォンチャン 原題は『다만 악에서 구하소서』、英題は『Deliver Us From Evil』 物語は、東京にて女に暴力を振るうことで有名なヤクザ・是枝(豊原功輔)が何者かに殺されるところから紡がれる 彼を殺したのは今回の仕事を最後に引退する殺し屋キム・インナム(ファン・ジョンミン)で、どこを安住の地にするかを決めかねていた そんな彼の元に東京にいる島田(パク・ミョンフン)から「是枝には義弟レイ(イ・ジョンジェ)がいて、彼がインナムを狙っている」という警告が入る また、インナムの元にKCIAのキム・チャンソン(ソン・ヨンチャン)から、元恋人のソ・ヨンジュ(チェ・ヒソ)の娘のユミン(パク・ソイ)の失踪届が提出されていると連絡が入った 身を隠す必要があったインナムはチャンソンからの要望を断るものの、翌日ヨンジュは死体で発見され、ユミンも行方不明のままだと報告が入った チャンソンは「ヨンジュからユミンはインナムとの子どもだと聞かされている」と告げると、インナムは危険を顧みずにタイのバンコクと向かった インナムはチャンソンから紹介されたイ・ヨンベ(イ・ソファン)に会い、ガイドとしてトランスジェンダーの歌手・ユイ(パク・ジョンミン)を同行させることになった そして、彼らはバンコクで人身売買を牛耳る「チャオポ」にて、臓器を買うふりをして近づき、ユミンの安否を確かめることになるのである 映画は「殺し屋同士の純粋なバトル」ではなく、子どもの行方を追いながら追われるスリルを描いていく この二重構造になっているので飽きは来ず、またレイの壊れっぷりが尋常じゃないので、先が読めない展開になっている とにかく人が死にまくるし、臓器摘出寸前まで描かれるので、心臓の弱い人はやめておいた方が無難かもしれない(あの描写が児童ポルノに抵触しないのかは少しヒヤヒヤした) タイのバンコクでの撮影になっているものの、よく撮影許可が降りたなあという内容で、人身売買組織の作り込みがなかなかえげつない レイの設定も「在日韓国人で獣の解体業者だった」とか、そのあたりの「繋がり」も普通に描いているので、フィクションの域を越えているような気にすらなってしまう あまりはっきりとは描かれないが、インナムはKCIAの元エージェントで、チョンソンからの指示で動いていた そんな、外部を利用して手を汚さないKCIAをレイがぶっ潰していくところはある意味爽快ですらある テーマ性は薄いものの、義兄を殺されたレイの復讐が徐々に快楽になっていくさまは凄まじく、『イカゲーム』から飛んできた人たちの心境は想像し得ない まあ、この振り幅こそが本物の俳優だと思うので、容赦ない描写の世界に足を踏み入れることは「第3の目」に刺激を与える意味でも有意義なのかもしれません いずれにせよ、どこまでやるのか的なバイオレンスアクションを楽しむ作品であって、バンコクの異国情緒の市街地での派手な立ち回りは見どころ十分である 「悪」というものが単なる暴力ではなく、弱きものに対する非情であることを描き、その傍で「強さ比べ」を描いていく対比は心地良いものだった フィクションと謳っても、間違いなく日本では描けない題材なので、こういった闇をもエンタメにしていける懐の深さ(国も国民も一部の声の大きい人も含めて)を見習って欲しいと思う 原題も「ただ、悪から助けてください」という意味になので、この「ただ」という言葉が指し示す意味は大きいのではないだろうか 命というものは「つなぐもの」ではあるものの、その意識が正しければ「命のために使う命」というものは肯定されるのかなとも感じた

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