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ニトラム/NITRAM
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ニトラム/NITRAM

NITRAM

1122022年3月25日公開

p_k********

3.0

静かに、事実に忠実に

半ばまで観ていて、この映画が何を語りたいのかわからなかったが、(事実にどれだけ即しているかを検証はしていないけど)起こった出来事を静かに、忠実に映像化しているのではないかと思った。少なくとも、この事件を題材としている以上、銃乱射により数多くの人が死傷したことへの深い悲しみを抱えた作品であることは確かである。どうしてこの悲劇が起こったのかはラストシーンのメッセージに読み取れるが、様々な要因があっただろうし、その中には避けられたはずのもの、避けられなかったもの、それぞれ存在しているような気がする。事実を誇張することは危険なことなので、もしこの作品が事実に忠実に描かれているのであれば、それは観るものに訴える一つの有効な手段ではないかと思う。 ほぼ前知識がなかったため、映画を観る前は、一見常識的な若者が何故銃乱射に至ったのかを描いた作品だと思っていたが、冒頭からそうではないと思わざるを得なかった。主人公はやはり常識的ではない言動の若者と思えた。ただそれが大量殺人の予兆と言えるかと言えばそうではないだろう。もちろん親の教育にも要因がないとは言えないかも知れないが、将来は誰にも見通すことはできない。社会防衛ということを考えた時、その矛先が人間に向かうことは恐ろしいことだと思う。となると、取り得る手段として、ラストシーンのメッセージに行きつくしかないのだろう。しかし、ここでもう一つ思うのだが、人間は悲劇に学んだふりをして、なぜまたそれを忘れてしまうのだろう。忘れたのではなくて、最初から誰かが比較考量をして、命と何かを取捨選択しているのだろうか。

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