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英雄の証明

GHAHREMAN/A HERO

1272022年4月1日公開
英雄の証明
3.8

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(27件)


  • mai********

    5.0

    一筋縄じゃいかないファルハディ作品

    人ってこうなんだよねってファルハディ監督に問いかけられてる気がする。 それに対する答えは『そうですよね』しかない。 善良な心がある。 いいかっこしいなところがある。 ずる賢いところがある。 切羽詰まると心に余裕がなくなる。 一人で抱え込んでしまうところがある。 素直になれなくなることがある。 妬んだりやっかんだりしてしまう。 人が持ついろんな面を作品でこれでもかと見せつける。 時に人は神様のような善人となり 時に人は悪魔のような悪人にある。 宗教を信じる人は、その一面を懺悔したくて祈りを捧げるのだろう。 負の心を浄化してくれるようにと。 SNSでも目立つ人を叩く風潮があったりするけれど ファルハディ監督はそれをものの見事に作品に落とし込んで 人の善なる部分と悪なる部分を魅せつける。 この表裏一体さが人なんだと。 最後の最後、主人公が大切にしたいと思ったもの。 そうだよ、それでいいんだよと思ってしまう。 それ以上に大切なものなんてきっとないんだよ。 そのことを悟れただけでも有意義な休暇だったんだと思いたい。 2022年5月15日シネマテークたかさきで鑑賞

  • ron********

    3.0

    重い映画。イランの映画特有の匂いがした。

    「別離」「セールスマン」でアカデミー外国語映画賞を2度受賞し、「誰もがそれを知っている」などを手掛けたイランの名匠アスガー・ファルハディ監督・脚本・製作がメガホンをとったヒューマンドラマ。 正直者の囚人として英雄にまつり上げられた男と、彼を取り巻くSNS社会の功罪を描く。 イランの古都シラーズ。 ラヒムは借金の罪で投獄され、服役している。 そんなある時、婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。 借金を返済すればその日にでも出所できるラヒムにとって、それはまさに神からの贈り物のように思えた。 しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは、金貨を落とし主に返すことを決意する。 そのささやかな善行がメディアに報じられると大きな反響を呼び、ラヒムは「正直者の囚人」という美談とともに祭り上げられていく。 ところが、 SNSを介して広まったある噂をきっかけに、状況は一変。 罪のない吃音症の幼い息子をも巻き込んだ、大きな事件へと発展していく。 第74回カンヌ国際映画祭ではグランプリを獲得した。 出演は、アミル・ジャディディ、「アジムの母、ロナ」のモーセン・タナバンデ、サハル・ゴルデュースト、「別離」のサリナ・ファルハディなど。 原題「A HERO 」 映倫区分G 2021年作品 イラン=フランス合作映画 配給はシンカ 製作会社はMemento Production=Asghar Farhadi Production=ARTE France Cinema 上映時間127分 まあ、普通に面白かった。 ちょっと重いですね。。。 イランの映画特有の匂いがした。 でも、ちょっと娯楽性もあり。 そして社会性もしっかりある。 物語的にはなかなか繊細な作り。 エピソードがいっぱいある。 婚約者や姉夫婦、別れた妻の兄や刑務所職員やボランティア団体などがエピソードに絡んでくるくるから、登場人物もめっちゃ多い。 もうちょっと少なくして欲しい。 なんかちょっとドキュメンタリーちっくな感じがします。 派手さはないけど、緊張感がある映画ではありました。 エンタメ的要素はあるにはるけど、かなり控えめ。 なんか、色々と不条理ですな。 イランの事がよくわかります。 借金しても犯罪者になることとか。 イランの刑務所制度のこととか。 あと、イランでは落とし物は、基本拾った人の物というのが普通。 日本ではちゃんと警察に届ける人が多いですよね。 ということに違和感を感じなければ、この映画素直に観れます。 文化が違うことにとても戸惑う作品ですね。 ちなみに、主人公が借りていたのは1億5000万トマーン。 そんな額の借金なん!? って、思いましたが、調べたところ1トマーン=10イラン・リアル=0.0030 円(2022年4月)なので、500万円くらいだそうです。 本作については盗作疑惑があるとのこと。 判決は現時点では出ていないようです。 ■興行収入予想 興行的には、現段階では上映館数39館と少ない。 4月1日(金)から全国順次公開中。 ミニシアターランキングでも上位に入ってはいないです。 初登場圏外スタート。 最終興行収入は1,800万円と予想。 星3つ(5点満点) ★★★

  • bakeneko

    5.0

    日本ではありえない英雄だなあ~

    現在の監督の中でもNo.1 のストーリーテラーであるアスガー・ファルハディのカンヌグランプリ受賞作で、拾ったバッグを持ち主に返した善行?から英雄に祭り上げられた青年の葛藤と騒動の顛末をリアルに映し出して、イラン社会や現代のSNS文化に留まらない万国共通の人間の性向を浮かび上がらせています (鑑賞後の相棒との会話) イランの南西部の街シラーズのペルセポリス遺跡。刑務所の2日間休暇を過ごすべく姉婿に逢いに来た青年がおりました。青年の名はラヒム。嘗ては実直な男でしたが事業を立ち上げた際に資金を持ち逃げされ、保釈示談金に困っていました… いきなり物語調でどうしたんだ! いや~本作を観ていて、芥川龍之介の「杜子春」を連想したもので… 最後に欲得抜きで自分を想ってくれる息子の真心に打たれた青年が、英雄としての名誉回復&早期釈放のチャンスを捨てて、頭を丸めて新しい収監先に入ってゆく決着が、両親の無償の愛で仙人になる夢を捨てて慎ましく生きる決意をする「杜子春」と同じ感銘をもたらしたんだ! 本監督作はいつもながら、基本的に善良で正直な人々の家族思いの性情に、イラン人と日本人の文化社会的共通性を感じさせるから、芥川作品の様な印象を受けるのも頷けるな~ 連想した芥川作品は他にもあって― 自分の境遇が好転変化したことへの戸惑いと葛藤&世間の人々の好奇で無責任な反応はー「鼻」 自分が助かるための保釈基金を他の死刑囚を助けることに転用する際の葛藤-「蜘蛛の糸」 も頭に浮かんだな~ まぁ一般的には本作は、ふとしたことからマスコミによって英雄に祭り上げられてしまった主人公の葛藤&他人の成功を嫉妬する人間心理を活写した―イーストウッド監督作「父親たちの星条旗」、「リチャード・ジュエル」のイラン版とみるべきだし、現実的でドライな転落過程や繊細な心の動きの描き込みはケン・ローチやロベール・ブレッソン、ダルデンヌ兄弟作品の筆致も踏襲しているよ… 同時にイランならではの事象も物語に組み込んでいて― 債務不履行者が刑務所に収監されていて、休暇には自由行動が出来るし、収監される刑務所を自分で選択できるシステムには驚かされるね! また、物語前編に出てくる紀元前6~4世紀に栄えた:アケメネス朝ペルシャの遺跡群の巨大さは圧巻だ スマホやタブレット、液晶テレビといった最新機器が生活に入り込んでいる一方で、別れた妻の兄が経営する“コピー専門店”や恋人が乗るマツダの中古車など、新しいものと古いものの共存も興味深い 貨幣経済が不安定なので金貨が貯蓄手段として用いられているのもアラブ的だ また、途中で協力してくれるタクシーの運転手の様に、囚人だった前歴を恥じないで語ることも、政治活動&現政権への反抗といった個人の思想で収監されることが日常なイラン社会の特異性が伺える… でも物語の核となるのは、降って湧いた不相応な幸運?への希望と欲望に振り回される男の逡巡と葛藤、そして簡単に盛り上がり無責任な見方や嫉妬で干渉してくる人間心理の怖さという普遍的なものだよね 人間心理解剖&社会的なテーマと共に、状況に振り回される主人公が次第に追い詰められてゆく焦燥感をリアルに描き込んで一級のサスペンス作品となっている点が見事だよね! 主人公と恋人の恋愛模様や、先妻の兄との軋轢といった人間関係が欧米の様に“個人と個人”ではなくて、“親族ぐるみ”というのもアジア的な“家”の観念と共通しているなあ~ 一番日本と共通しているのは“杓子定規に無理難題な要求を平然と言う”役人の融通の訊かなさだよね(笑) 今までイランと日本の共通点を述べて来たけれど、決定的な違いもある―レビュータイトルのも書いたけど、日本では落とし物をネコババしなかったことが美談にはならないよね~ あともう一つは、 日本では落とし物を交番に届けるところだな!” そこは突っ込んじゃいけないよ―第三者的な証人となる警官が絡んだら“主人公の行動を証明できない!”と言う本作の設定そのものが成立しなくなるから… ねたばれ? 1,劇中で主人公が義兄宅で御馳走になる料理は、イラン風おこげご飯ターディッグ(日本コメじゃなくてインディカ米を使用)と、トマトシチューのゲイメです。 2,いつの間にスマホ撮影していたんだろう?

  • yuk********

    2.0

    よく練られている

    話がかなりよく練られていて、人間が考えることって実際確かにこうだよね!というのをよく分からせてくれる映画でした。 ただ最後まで何か展開があるのか期待してしまった分、ちょっと思っていた作品とは違っていました。

  • qua********

    5.0

    相変わらず凄いな〜

    流石はアスガー・ファルバディ監督ですな。 やはり不条理で重い作風には長けてますよね〜、何時もの如く人間描写も深過ぎ、ラストに関しては僕の理解力不足もあってか、今一つ消化不良気味でスッキリ感が希薄かな。 しかしながら、今回もお見事な脚本ですね。 前2作と比較しても、今回の作品は秀作に値するクオリティ高い作品かもしれませんね。 名作【別離】のクオリティには及ばないですけど。 この作風は他人事ではない、まさに社会勉強にもなる、心が傷むようなガツンと来る作品、より多くの日本人にも観てほしい作品。

  • sko********

    5.0

    スカッとしない映画。でもそれが逆に味わい深い!

    ちょっとした善意とちょっとした欲望、強固な家族愛と根強い不信感、それらが微妙に絡み合って、結果的に泥沼に決まっていくストーリー。イランの映画なのに、日本でも、私の近くでも起きていておかしくない物語。真実は一つなのに、人それぞれがみる視点によって、英雄にもなれば、ペテン師にも見えてくる。今のウクライナとロシア、それを取り巻く世界各国の関係も、この映画の登場人物たちのように、結局はどの角度から見ているかの違いなのかも。しかも、角度は常に変化する。本当に最後までスッキリしないままの映画。むしろこれからどうなるのか、とても気になる映画。いわゆるハリウッド映画の対局です。考えることが好きな人にぜひお薦めです。

  • wxj********

    4.0

    ネタバレ人間は善と悪のどちらも併せ持つ

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • koi********

    4.0

    秀逸なサスペンス

    称賛と疑惑が一瞬に拡大するSNSの怖さを背景に、翻弄される男の心情を巧みに描いた秀逸なヒューマン・ミステリーでしたね。ファルハディ監督はほかの作品もそうだけど、心の内側を描くのが巧みですね。またアミール・ジャディディが絶妙に監督の思いを演技で表現してました。それと姉のマリと婚約者のファルコンデのサポートが出すぎず、押さえすぎずラヒムの苦悩を際立たせていました。吃音者の息子の設定と、悟ったように刑務所に戻っていくラヒムのラストシーンには、ちょっと違和感が残りました。ラストシーンのラヒムの表情に監督のこの映画のメッセージが表現されているんだと思うけど自分の理解力不足を痛感します。

  • mnk********

    3.0

    改心しないアホ男と、彼を見捨てない人々

    アスガー・ファルハディ監督の映画は『彼女が消えた 浜辺』で魅了され新作が公開すれば必ず劇場で観るよう にしています。 ただ、大ファンかと問われると答えに困り、ソフトを 購入して何度も観たいわけではなく、一回観れば満足 してしまう作品。 作家性に興味はあるが、明らかに『セールスマン』まで 才能は維持された様子。それ以後は本作含め期待は満た されなかった。 (まだ今年公開された『白い牛のバラッド』の方が、 アスガー・ファルハディ作品のように見える不思議。) さて本作は、何故か主人公が阿呆で、その子供も不憫。 周りの人々も憐れで、救いがない。 監督特有のストーリーテリングもあざやかさがない。 才能は枯れたか。

  • 山下晴代

    5.0

    差異を示すのも映画の手柄

    イランは映画大国で、キアロスタミをはじめ、作風は洗練されている。生活は欧米化されていて、社会もわりあい開かれている。しかし、細部で、やはり民主主義先進国の生活、社会に慣れている目からみると、違和感がある。そのひとつに、「たかが借金」で、犯罪者のように(事実犯罪者なのかもしれない)収監される。そしてこの、金貨の入ったバッグは誰のもの?という物語を見ていると、大げさというか、なんというか。だいたいそのバッグを警察に届けた時点で終わり、先進国なら物語にもならないが、それを本人が保管し、落とした人を探し、返す、というのが、この物語を複雑にしている。そして、収監されている人々に保釈金だかを寄付するという組織も、先進国にはないもので、警察の力がそれほど強くないのか、この不思議な物語に一役も二役も買っている。  物語の時代は現代なので、当然、インターネットがあり、SNSがあり、人々の視線や意見も混じり合う。これがこの映画の環境として与えられている。  よく考えたらそれだけの映画で、これが「英雄か(笑)、イランでは」と思うと、それは寝落ちの間に、大きな違和となって入り込む。  てなてな不思議な映画で、家族で囲む食卓もテーブルではなく、絨毯の敷かれた床に皿などを置いて食べる。こういうのも、昔からの食習慣だろうが、妙な感じがする、欧米化民主主義の国に生きるわれわれである。  しかし、そのような差異を認めるべきであり、その差異を「今の問題」とともに描き出すのは映画の手柄であろう。

  • run

    2.0

    苦痛だった

    言いたいことがわからなくもないけど、終わるまでこんなに時計を見たのは久しぶりです

  • ta7********

    4.0

    出来はいいけれど、面白くもない

    アスガル・ファルハーディー監督作ってことで観なければ・・・なんて構える必要サラサラなく、会話のやりとりでいつのまにか抜き差しならない状況に運ばれる作劇が見事で、あれよあれよ・・って感じ。「別離」「セールスマン」しか観ておりませんが、結果的にファルハーディー独特の話術にはまってしまう。  ただ、邦題が「英雄の証明」ってのがいけなかった。英雄ですよ、どれ程にドラマチックな、ゼレンスキーのような今真っ只中の英雄をどうしても期待してしまう。なのに、お金を拾ったので持ち主に返しましたって話なのだから呆れてしまった。原題がヒーローとしても、ここは「善人の証明」とでもすべき。そんなタイトルでは観客動員は無理ならば「悪意のない嘘」とか「歪められた善意」とかにすればよかった。  冒頭からイスラム圏の慣習やら環境に興味深々で、服役囚なのに休暇が与えられたり、バツイチだったり、やたら色彩の多い室内とか、食事シーンの物珍しさ、そしてiPHONEが当たり前のように浸透していたり、ビデオゲームやら、子供の我儘やら、メッカに向けて祈りのシーンなんぞ皆無にびっくり、とかとか。そんな興味本位をするうちにお話しのややこしい深みに絡めとられてしまう。  要はSNSの恐ろしさを突き詰める極めて国境のない世界に収斂してゆく。イランである必然はまるでなく、私達の社会と全く同様の恐怖を描くわけで、二転三転の捻りが秀逸。主人公も40代でしょうが結構なイケメン役者さんで、到底悪人に見えない、だから被害者と言いましょうか告発者側の激しい憎悪が理解に苦しむ。「これがあなたの本性よ」とその娘から言われてしまうのが衝撃でもある。それぞれの立場の名誉を守るのが最優先の社会の偽善を浮き彫りにする。  ただ、前作のような緊迫感が緩く、室内の会話のカットバックが延々と続くのがつまらないのも確か。無論、鑑賞後の爽快感なんぞ皆無で胸糞悪い混迷が続くわけで、出来はいいけれど面白くもない、って言ってしまったら身もふたもないけれど。

  • ********

    4.0

    イラン的、日本的?

    2021年。アスガー・ファルハディ監督。借金を返済できずに訴えられて収監されている男が2日間の休暇で出所した際、拾った金貨をネコババせずに持ち主を探して返すと、噂が広まって世間から英雄視される。ところが、借金の貸し手である別れた妻の父親は作り話だと疑い、就職活動にも横やりを入れる。返済の目途が立たない男は再び収監されることを防ぐために行動するが、、、という話。 人間関係が権威主義的なイラン(男を立てる女、年上への盲目的尊敬、組織への過大な信用)を背景に、ネットで広まった噂を個人が打ち消す「証明」がいかに難しいかを淡々と描く。頭ごなしに怒鳴るおじさんたちとそれに耐えながらも爆発してしまう人たち(正直者の主人公、女性、子供)の対比は、今の日本はここまでではないと思いたいなあ、いや、まてよ、、、と不安な気持ちになるほど、遠すぎず近すぎず、感覚をくすぐってくる。 監督の作品では常に、鏡やガラスの反射や半透明な透かし、窓や入口の枠からあちらへの視線、すばやいカットの連鎖による運動の創出といった映画的な試みがたくさんあって、伝統的な映画作りをしていて安心する。一方で、題材がイランの人間模様というちょっと異質なところでどきどきさせてくれる。日本社会の方が欧米よりも感覚的に近いので、その分、分かった気になってしまうのだが、それでもそこここに違和があるのが貴重。

  • illbeback1229

    5.0

    ネタバレ正直者が馬鹿を見てしまった絶望的な作品を作ったのはさすがアスガー

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • nn1********

    5.0

    一口寸評

    監督は、今年『ドライブ・マイ・カー』が見事受賞したアカデミー賞外国語映画賞(現国際長編映画賞)を、すでに2度も受賞している。 さらに本作は、カンヌ映画祭でグランプリ。 ただ、過去5本の公開作は、特別難しいテーマを扱っているわけではなく、表現手法も、市井の人々の言動を淡々と追っているだけだ。 借金を返さぬ罪で刑務所暮らしのラヒム(アミール・ジャディディ)は、婚約者が拾った金貨を、迷った末に休暇(こんな制度があるなんて、この国は緩いんだか適当なんだかわからない)中に届け出、正直者の囚人として世間に称賛される。 しかし、SNSなどによる中傷が、彼を予想外のかたちで追い詰めていく…。 姉と義兄、ラヒムの吃音症の息子、婚約者だけが味方。 今やメディアやSNSは諸刃の剣だ。 安定感抜群の監督の語りに身を任せていれば、情報に翻弄される人間の愚かさがしっかり見えてくる。 彼の作品を見ていると、主人公を含めた登場人物全員がとてもリアルで、存在感があることにいつも感心する。 他の監督ではなかなかこうはいかない。この監督の最大の長所だろう。 ラストは、遠距離撮影で分かり辛いが、彼の申し出のおかげで死刑囚だった男が釈放されたという皮肉であろうか。 タイトルは、’英雄’というよりはむしろ『‘善人’の証明』のほうが合っている。 評価は4.5★。

  • oce********

    4.0

    誰も何も証明できない

    盗作疑惑が巻き起こった本作だが、中身はいかにもなアスガー・ファルハディ作品になっている。 つまり正解も間違えもないと。 借金から刑務所に入り仮出所したラヒム。 偶然落ちていた金貨を広い持ち主に返したことで、そのことが報道され一躍時の人に。 ところが借主が美談でないかと疑惑をむける。 ラヒムをはじめちょっとずつズレて行ったり、見栄を張ったりという積み重ねが、どんどんと悪い方向へと流れていく形。 冒頭とラストのバスの対比や、ドアの開け閉めだとか、喜怒哀楽の積み重ねがまた鋭い余韻。 善行が必ずしも良い事とはならないタイプだが、運が無いの一言で片づけることはできない。

  • Dr.Hawk

    3.0

    ネタバレ自分の知らないところで「あなたの本性」は記録され続けている

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • fpd********

    4.0

    サスペンスとしても面白い

    それぞれの事情によって、事実が捻じ曲げられて、思わぬ方向へ進んでいき、どうなっていくのか、サスペンスとしても見ごたえのある映画でした。イランの裁判制度や事情を垣間見ることもできて、面白かったです。人間の持つ”弱さ”や闇の部分をうまく描いていて、何が大切か、考えさせられる映画でした。

  • kin********

    5.0

    じわじわきます

    題名から、もっとダイナミックな物語かと思っていたら、淡々と地味に進行する映画でした。演出は素っ気無いくらい観客に媚びない作りで、それがリアルなんですが、人物関係や事件の背景がつかめるまで時間がかかります。イランの特殊事情、服役中に休暇があるとか、死刑を金で免除できるとか、その辺もとっつきにくい。救いもないので、映画は娯楽と思っている人には不向きでしょう。  中盤過ぎからは作者の視点が理解できるようになり、画面から目が離せなくなりました。SNS時代になっていよいよ、情報は凶暴な力を持つようになりました。何が正しいかは問題でなく、より多くの人が正しいと思うことが重要なのです。  人間と社会が本源的に持っている欠陥、その一端を明らかにしてくれる映画です。

  • s19********

    2.0

    イランはそうなの?

    日本なら拾得物は警察に持っていきますが、そうしておけば丸く収まっていた気も。イランの警察は信用できないの?拾った金貨の落とし主についてしっかり確認しない主人公と何の疑いも無く渡してしまうその姉(住所も名前も確認せず)。イラン人は人が良いのか、馬鹿なのか?別れた夫を散々責め立てる割に子供のことはその姉と義兄に預けたままで心配している素振りも見せない元妻。刑務所、支援団体、テレビ局、皆自分の利益優先という姿勢も今更という感じで、ストーリーが主人公に都合の悪いように進み過ぎて、途中でゲンナリさせられました。

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