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スージーQ

SUZI Q

1042022年5月6日公開
スージーQ
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(2件)


  • rik********

    4.0

    コケティッシュという形容がフィットする。

    アメリカ生まれだがヨーロッパやオーストラリア、日本で人気を博したスージー・クアトロのヒストリー・ドキュメンタリー。 レザーのジャンプスーツを纏い、そのスタイルからも、ロックの道を邁進する女性ロッカーの先駆け、というイメージだが、批評的には男性からあてがわれたプロトだとか、アメリカでは通用しなかったとか、苦悩も多かったようだ。 しかしそんなことに本人は臆していない。少女時代から姉妹とバンドを組み(出身のデトロイトといえばモータウン。ジャクソン5を思い出す)、やがて家族と決別する形でイギリスへ。『スージー・クアトロ・スタイル』を確立して快進撃。BOØWYもカヴァーした『ワイルド・ワン』などヒットを連発した。その後の女性ロッカーにも影響を与え、ランナウェイズ時代のジョーン・ジェットの容貌がスージーの模倣丸出しなのは少々笑える。(因みにこのジョーンやブロンディのデボラ・ハリーらがインタビューに答えているが、どうも呂律が怪しい。酒かドラッグが原因なのだろうか。スージー自身はしっかりいていて、「煙草とビールしか手を出さなかった」というコメントを裏付けている。) しかしながら、アメリカではヨーロッパほど名が売れたとは言い難かったことは知らなかった。推察するに、当時の女性アーティストといえば、リンダ・ロンシュタットやジャニス・ジョプリン、キャロル・キングなど、カントリーやブルース、フォークといったルーツの楽曲が主流で、スージーのようなストレートなロックはまだ早かったのかも知れない。イギリスのoasisやblurもアメリカでは自国ほど売れなかったので、アメリカの音楽的閉鎖性が垣間見える典型的なエピソードであろう。また、その可愛いかつセクシーな容姿から、おそらくアイドル的な印象があって、フェミニズムが沸き上がった70年代アメリカでは、敬遠される要素になってしまったのかも。テレビのトーク番組で、その司会者がスージーに後ろを向くように指示し、言う通りにすると、お尻をポンと叩く映像があったが(今ならその司会者は死刑だろう)、そういった扱われ方も情勢にコミットしなかったのかも知れない。 ヒット曲に恵まれなくなり、舞台やテレビ出演を経て、今なお現役で走り続ける彼女、『コケティッシュ』という、最近は殆ど耳にしない形容が、昔も今も、ぴったりくる女性であり続けている。 映画的には、もっと当時のライブ映像とかがあるはずなのに、あまりフューチャーされていないのがちょっと残念。

  • yrh********

    4.0

    健全な普通の感覚を持ち続けた偉大なるロックのアイコン

    スージー・クアトロの軌跡を辿る。ごく若い頃にデビューした彼女は、今もバリバリの現役である。ロックのアイコンで超有名ではあるけど、その功績は確かにもっと評価されていいと思う。 欧州やオーストラリアや日本では大人気だったけど、本国アメリカではなかなかヒットが出なかったというのが意外。フォロワーであるジョーン・ジェットの大ヒットを考えると、スージーは時代よりちょっとばかり先駆けすぎたんだろう。アメリカって意外と保守的なんだなと思う。 姉妹たちと組んだガールズバンドで始まったロック人生、彼女一人がピックアップされてイギリスでデビューする。この経緯による家族との確執はなかなかに辛い。「一人だけ抜け駆けした」というわだかまり。家族がスージーのレコードに対する酷評をわざわざテープに吹き込んで送ってきたというエピソードは、それぞれの気持ちを慮ると胸が痛い。スージーはとても若くまだまだ家族に守られていていい年齢だったのに、一番褒めてほしい人達に認めてもらえない。そして家族の方もまた辛かったと思う。応援したい気持ちと、嫉妬や寂しさが入り混じる。 後に再び家族とステージにも立ち、今は仲良く交流している。でもそれでも、姉妹たちはスージーの仕事に対してややそっけない。素晴らしい出来のステージに対しても「いいんじゃない」と一言だけで片付けてしまう。スージーはちょっと寂しそう。 周囲との軋轢があったとしても、スージーは信念を貫きやりたいことを諦めない。パブリック・イメージを損いかねない仕事にも貪欲に取り組み、活動範囲を広げていく。強い。 さらに、あの時代のロック業界に身を置きつつ、セックス・ドラッグに溺れなかったのも彼女の強さだと思う。ビールとタバコ以上のハードドラッグには手を出さなかった。地に足ついた堅実さは、デトロイトの実家で培われたものだろう。 その真面目さや健康さがむしろ彼女の神格化を妨げたのかもしれない(スージー本人は神格化なんて決して望んでないと思うけど)。多くのロックスターのように悲劇的ではないのだ。ある意味、彼女はとても普通の人だ。でもこういう人こそが偉大なんだと思う。 人生の選択においてスージーはいつも自分にとって一番大事なものを正直に選び取ってきた。それは他のものを捨てることでもある。彼女は、選ばなかった道に対する思いも正直に語る。学校にも行きたかった。家族と揉めたくなかった。でも自分の選択だから、後悔はない。 女性ロッカーの先駆けというだけでなく、「自分で人生を切り開く」「ファースト・ペンギンになることを恐れない」筋の通った強さを尊敬する。

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