2022年7月2日公開

マルケータ・ラザロヴァー

MARKETA LAZAROVA

1662022年7月2日公開
マルケータ・ラザロヴァー
3.8

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(6件)


  • nn1********

    5.0

    一口寸評

    古くは黒澤明、アンドレイ・タルコフスキー(特に『アンドレイ・ルブリョフ』(67))、新しくはテオ・アンゲロプロス(特に『アレクサンダー大王』(80))、アレクセイ・ゲルマン(特に『神々のたそがれ』(13))を彷彿させるモノクロの歴史劇が、55年を経て日本初公開。 監督はチェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠で、極寒の山奥で550日間のロケを敢行、制作期間は10年だとか。 舞台は13世紀半ば、騒乱のボヘミア王国。 小領主ラザロ家の美しい娘マルケータ(マグダ・ヴァーシャリーオヴァー)は、敵対する盗賊一家に拉致されそこの息子と恋に落ちる…。 伝奇的要素に塗れたゴシック・ロマン(英国ではないが)を聞いてるような166分。 キリスト教と異端、自然と野生と人間と、野卑と崇高。 主観ショットや逆光を多用した映像は前衛的かつ叙事詩的。 久しぶりに、重厚な語り口と映像による’ちゃんとした’映画を見た気がした。 戦闘シーンは若干迫力不足ながら、古い映画の初公開やリバイバル上映が相次ぐなか、近年一番の収穫。

  • ユスト

    5.0

    象徴的描写が素晴らしい

    モノクロだけど、昨日撮ったかの様な臨場感。古典的な字幕と物語という進行方法は古くて新しい。挿絵が付いた本の様。 中世ボヘミア王国、騎士階級の没落と王権の伸長。キリスト教化の歴史的背景が伺われる。 大木に捧げられる首飾り、動物の骨。街道筋に立つ木像。モカシと呼ばれる土母神。出来たばかりの修道院と放浪修道士。修道院長は上級貴族、修道士は平民。日本で言えば私度僧勝手に名乗っているだけ。 聖も俗も、キリスト教も土俗宗教も混淆した世界。 盗賊騎士は力こそ正義、商人上がりの隊長は王権を振りかざす。 舞台は中世だが、権力と反権力、聖と俗。家族と恋人との軋轢は現代にも嵌る。象徴的な描写が多く映画慣れしていない人には苦痛かも知れない。 ブレイブハートみたいな分かりやすく、派手さはまるでない。でも、深くて素晴らしい映画だった。

  • まっとさん

    4.0

    プラハの春とロシア(当時はソ連)の存在

    チェコの歴史的名作という触れ込みと作品チラシの美しさに惹かれて、拝見しました。モノクロの映像は久しぶりで2時間半ほどの長尺ですが堪能できました。黒沢明監督の「七人の侍」や「羅生門」に影響を受けたような印象もあります。  内容はともかく、この作品が作られた1966年という時期が気にかかり、作品を観ている間もこの制作年代のことが頭に引っかかっていました。  というのも、あの「プラハの春」が1968年です。チェコスロバキアでは、東西冷戦のさなかにあって民主化を目指した変革運動が少しずつ大きくなっていた時期でしょうか。共産党政権に対する批判や民主化を求める動き、そしてスロバキアの問題など、チェコスロバキア国内は大きくうねり始めていたのではないかと想像するのです。  フランチシェク・ブラーチル監督がこの時代何を思い、どう行動していたのかは全く分かりませんが、パヴェル・コホウト、ミラン・クンデラら著名な作家たちが共産党批判を公然と行っていたことを考えると、当時まだ若かったフランチシェク・ブラーチル監督も民主化運動に多少なりともかかわっていた、あるいは賛同していたのではないかと思うのです。  そんななかに生まれた作品です。中世の舞台を借りて、当時のチェコスロバキアの状況を描いていたのではないかと、作品を観ながらうがった見方をしていました。  たとえば、修道女になるはずだった少女マルケータが、領主である父ラザルと敵対関係にある盗賊騎士コズリークの息子ミコラーシュと恋に落ちます。しかし、両氏族間の争いはますます激化していきますが、このくだりはチェコとスロバキアとの関係ではないか、あるいはチェコとロシアの関係ではないか、という見方。    ミコラーシュ曰く「強いものがつねに正しい」という考え方。そして絶え間ない政争や諍い、謀略、妬みや嫉み、宗教に名を借りた暴力、聖と俗の同居などなど、東西冷戦のさなかの東ヨーロッパの状況がまざまざと描かれているのではないかと想像してしまったのです。  映画評のなかにも、監督の発言のなかにも、そんなことは全く書かれていませんが、想像力を掻き立てられました。  「強いものがつねに正しい」という考え方は、ロシア的な発想で、プーチンの考え方でもあります。タイミングがタイミングなので、ロシアを思わずにいられませんでした。

  • りゃんひさ

    4.0

    ネタバレ物語がわかった上で観ると、とてつもなく面白いのかも

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • kokeenjin

    1.0

    予告映像の上手さと宣伝文句に壮大な物を求めて観たが、残念であり眠気も伴いました。

    予告映像の編集の上手さとチェコ映画史上最高傑作だとか55年の時を経て日本初だとか映像化不可能と言われていた…などなどの言葉に釣られて(80〜90%は予告映像ですが)観ましたが、結果としては私にとっては観なきゃ良かったと言う内容でした。とにかく観ていて疲れた。セリフの被せ方とかが意図されてなんでしょうけど映像とのタイムラグなど凄くまどろっこしさを感じました。また物語自体そこまでドラマチックな物も感じる事出来ず、所々ウトウトしたし、となりの男性もいびきかいて寝ていました。要所要所では白黒のカットが凄くアートを感じる美しい場面などありましたが、私にはこの作品の何が良いのか大きくわかりませんでした。この3時間弱ある本編より宣伝用に作られた1分数十秒の予告映像の方がうまい様に濃縮され作られているのでグッときました。 しかしながら他の方が投稿されてるレビューは高いので、私がこの作品の良さに気付けていないだけなのかもしれません。名作と言われる物を観て時折この作品同様にどこが良いのか分からないことが稀にありますので。 マルケータ・ラザロヴァーを観て帰宅して、こちら書いてる内に、メル・ギブソンのブレイブ・ハートがたまらなく観たくなってきました。こっちは名作であり大好きな作品です。

  • stanleyk2001

    4.0

    獰猛な中世ヨーロッパ

    「マルケータ・ラザロヴァー」Marketa Lazarová 1967 チェコスロバキア 「王は我々を統治する。だが王が正しいか我々が正しいかを決めるのは戦いだ」 「神よ、私を守る人たちから私を遠ざけてください。彼女達の言葉には真実がありません」 ヴラジスラフ・ヴァンチュラが1931年に書いた同名小説が原作だが原作より時代考証は正確に製作されているそうな。 13世紀現在のチェコは神聖ローマ帝国のなかのボヘミア王国。 この映画で対比されるテーマは ・キリスト教vs異教 ・王権vs領主 ・コズリーク家vsラザロ家 ・マルケータとミコラーシュvsアレクサンドラとクリスチャン 法と正義がまだ確立していない中央ヨーロッパは強盗、殺人、誘拐が横行する世界。 ルネサンス時代「ヨーロッパの源流はギリシャ・ローマ文明だ」なんてヨーロッパ人は言ったけど全くそんな事はないということがよくわかる。 映画の中盤まで観てこの人達には正邪も倫理も思想も無いということがわかってくる。 この弱肉強食、盗み殺人略奪上等の地獄の様な世界こそがヨーロッパだという不都合な真実が描かれていく。 マルケータは前半で一度、後半で再び修道院を訪れる。前半のマルケータは無垢な少女。後半は誘拐されレイプされレイプした男を愛しその男が殺されその男の子供を宿した妊婦として。 そしてマルケータは修道女の言葉には真実が無いと言い切る。さてマルケータの運命は? 混沌から開放へ。とても充実した映像体験。ATGみたいな象徴的モンタージュも懐かしい。それにしても狼が良い芝居をしていたなぁ

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