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スープとイデオロギー

1182022年6月11日公開
スープとイデオロギー
4.6

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(4件)


  • nn1********

    5.0

    一口寸評

    画像は在日コリアンである監督の母親。本作の主役である。 前作『かぞくのくに』(12)は劇映画、本作はドキュメンタリーだがどちらも傑作。 1930年大阪生まれの母親の激動の人生を描く。 ①第二次大戦中、空襲が激しい大阪から済州(チェジュ)島に疎開。 ②1948年、島の4・3(イデオロギーによる分断、村民虐殺)事件に巻き込まれ、弟妹と命からがら大阪に逃げ帰る。 ③朝鮮総連幹部の父と結婚、息子3人と娘(監督)を授かる。 ④息子3人は、帰国事業で’地上の楽園’北朝鮮に渡ったきり帰らず、母は借金してまで仕送りを続けた。 ⑤娘(監督)は、両親の願いに反して日本人男性と結婚。認知症気味になった母親を済州島に連れて行く…。 撮影は2015年から18年、母が若い頃の回想シーンはアニメで表現。 短い間に老いていく母親の姿(22年1月死去)に泣けた。 鷄スープの味は不変でも、現在の半島情勢は、かくして、家族全員のイデオロギーを路頭に迷わせるのだった。 日本人だって韓国人だって母の願いは一緒、子どもたち、家族全員の幸せである。 それにしても、監督の12歳年下の旦那さんには心から癒された。 助演男優賞を差し上げたい。

  • tah********

    5.0

    ネタバレたくさんのテーマが盛りだくさんで心を激しく揺さぶり、同時に考えこんでしまう映画

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • mik********

    5.0

    実は

    金日成賛美の母親と反対の立場の娘(監督です)、しかし、そこには。 というわけでヤン・ヨンヒ監督の新作ドキュメンタリー、やってくれました。 まずスープについて、鶏アレルギーの私には正直きつかった。でも考え方が違っても、美味しいと一緒に食べているじゃないですか。ここで登場する監督の夫(日本人です)がいい味を出している。 監督には3人の兄がいて3人とも北朝鮮へと行ってしまった。そんな兄たちに借金をしてまで仕送りする母。まず理解できない娘。それが映画の後半になって一気に明かされる。済州島で起きた事。 この映画の製作にあたりクラウドファンディングが実施され、私も少ないながらも出資しました。もちろん大手の映画会社の後押しもない作品には不十分な援助だったことでしょう。 ただこうして立派に完成した映画を観られて感無量です。たとえイデオロギーが違えど、民族が違えど、一緒に食事ができる。この映画のタイトルにはそんな思いも込められている。 今平和とは程遠い世の中にあって、どうか争い事のない世界であってほしい。そんな儚い希望を持つのであった。

  • stanleyk2001

    5.0

    18歳だった母を変えた歴史的事件

    「スープとイデオロギー」2022 ヤン・ヨンヒ監督の母オモニを通してみた朝鮮と日本の近現代史。 ヤン・ヨンヒ監督の映画を初めてみたのは「かぞくのくに」。朝鮮総連幹部の両親の元に生まれた男子3人女子1人の兄妹。朝鮮戦争直後疲弊した韓国より北朝鮮は経済的に発展している夢の国だというプロパガンダを信じて両親は3人の兄を北朝鮮に送り出す。「帰国事業」と呼ばれるものだ。 もちろん北朝鮮が夢の国なんてことはなくて日本にいる家族からの外貨が目当てだった。 なぜ両親は北朝鮮の実態がわかってきても送金し続けたのか?しかも借金までして送金し続けたのか? その謎が「スープとイデオロギー」で明かされる。大病を患った母(オモニ)が何故か昔のことを話し出す。1948年4月3日に済州島で起きた死者3万人とも言われる大虐殺の現場にいたのだ。 冒頭のオモニの回想はすぐには回収されず映画はヤン監督のホームムービーの様に気持ちよさそうに酔う父(アボジ)や美味しそうなスープを作るオモニの様子。そして生真面目なヤン監督のフィアンセの登場と続いて行く。 そして冒頭のオモニの回想に次第に接近していく。 済州島で何が起きたのか?オモニの運命はどう変わったのか?オモニの国家観はどう作られたのか? オモニが経験した出来事を通して戦後の朝鮮と日本の歴史に振り回された生涯が現れてくる。そしてオモニ本人は認知症になり目の前の娘すら忘れてしまう。つらい過去を忘れる事は幸せなのかもというヤン監督の言葉が重い。 映画館が明るくなってもしばらく席を立てなかった。宿題をもらった様な気持ち。すぐ近くの今はリゾート地として知られる済州島で起きた事を自分なりに調べてみようと思った。 映画は最初はヤン監督の撮影した画面のみ。ヤン監督はカメラを回しながらオモニやアボジと話す。後半は撮影はカメラマンに委ねられ監督は撮影される対象、登場人物の1人となる。 ドキュメンタリーとしては監督が取材者から取材対象に変化するというのが面白い。

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