レビュー一覧に戻る
エルヴィス
上映中

エルヴィス

ELVIS

1592022年7月1日公開

********

4.0

エルヴィス・プレスリーでさえ

2022年。バズ・ラーマン監督。エルヴィス・プレスリーの半生をプロモーターの視点から描いた映画。貧しい少年時代をメンフィスの黒人居住区で送り、ゴスペルとR&Bを取り込んだ楽曲と個性的なダンス(下半身の動き)で驚異的な人気を得ていく過程が、時代の制約(黒人差別や社会規範)と絡めて描かれる。 「華麗なるギャッツビー」以来だったのかと軽い驚きのラーマン監督の長編映画。まずは変わらぬ豪華でド派手な演出に圧倒される。全編を通して、プレスリーの歌唱場面の動きのエネルギーがカットの速さと繰り返しで強調される。下半身の動きに限らず、ほとんど痙攣的なありえない速さ。これがすごい。また、最後の最後まで記録映像に頼らずに当時の状況を再現しようとしている。CGも使っているが、動員している人の数も衣装もメイクもすばらしい。悪役をプロモーター一人に絞って、その対立と和解の緊張でドラマが進行しているので、最後まで主人公と家族は清らかなまま。といっても、プロモーター自身に言い分も理屈もあって一筋縄ではいかないところが、悲劇の性質を深めている。エルヴィス・プレスリーでさえ、金との関係で人生を考えなければならないのだ。

閲覧数1,784