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エルヴィス
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エルヴィス

ELVIS

1592022年7月1日公開

yto********

4.0

エルヴィスとパーカーの微妙な関係を表現

オープニングクレジットとエンドロールの豪華な演出は比類ない。赤と金、ルビーとゴールドがクレジットを飾る。  冒頭、ショーが始まる前に倒れたエルヴィスを、マネージャーのトム・パーカー大佐が医師に薬を注射させ何が何でもステージに立たせるシーンに、2人の関係が象徴されていた。そして、パーカーの臨終間際からエルヴィスの物語が始まった。  貧困層の黒人が多いテネシー州メンフィスでの生活で、エルヴィスはゴスペルやブルースといった黒人音楽に触れ、リズム・アンド・ブルースの素養を開花させ、キング・オブ・ロックンロールと称され、ギネス・ワールド・レコーズでは「史上最も成功したソロ・アーティスト」として認定されるまでに至るのだ。  エルヴィスの腰振りに悲鳴を上げ卒倒する女性ファンの心理を推し量るのは難しいが、何かに抑圧されたエネルギーを一気に放出させるだけの、エルヴィスの歌声とパフォーマンスの能力を映画の中でも感じることができた。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーも相当に研究しており違和感なく演じたと思う。  トム・ハンクスは年を取り、格好よさは全くなく、老醜のパーカー大佐そのものだった。エルヴィスを見出し、成功に導いた手腕は大したものである。  エルヴィスとパーカーは、果たして幸せな人生だったのだろうか。クリスマスのテレビ番組で復活し、ラスベガスにオープンしたインターナショナル・ホテルで豪華なワンマンショーを行い、世界進出を目論むエルヴィスとそれには反対するパーカー大佐、サスペンスの要素も散りばめながら、エルヴィスが「アンチェインド・メロディ」を歌う終盤まで2人の微妙な関係が巧みに表現されていた。バズ・ラーマン監督はよく調べていると思った。エルヴィスにとってもパーカーが必要だったに違いない。

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