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鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成
2022年6月24日公開

鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成

1422022年6月24日公開

Dr.Hawk

2.0

ネタバレ無能なPの無理難題に付き合わされた皆様、お疲れ様でした

2022.6.30 T・JOY京都 2022年の日本映画 原作は荒川弘の同名漫画(スクエア・エニックス) ホムンクルスの企みに立ち向かう国家錬金術師たちを描いたファンタジーアクション映画 監督は曽利文彦 脚本は曽利文彦&宮本武史 物語は前作『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』の続編として展開していく ホムンクルスのグラトニー(内山信二)に飲み込まれてしまったエド(山田涼介)、シン国王子リン(渡邊圭祐)とホムンクルスのエンヴィ(本多奏多)だったが、出口を探すのは困難と思われ、そこで諍いが起こってしまう エンヴィは巨大化し、怪物になって二人を襲うものの、その戦いの最中にエドはあるものを見つける それは錬成陣のかけらのようなもので、エドはそれで脱出できると考えたのである 一方その頃、スカー(新田真剣佑)から、ブラッドレイ大総統(舘ひろし)がホムンクルスではないかと聞かされたロイ・マスタング大佐(ディーン・フジオカ)は部下のリザ(蓮仏美紗子)とともに中央司令部の汚染状況を確認しに来ていた 廊下ですれ違ったレイヴン中将(大和田伸也)に「噂話」を聞かせると、彼はロイを中央会議室に連れていく そこにはブラッドレイもいて、彼は「私がホムンクルスだったら何か問題があるのかね?」と訊いた 物語は、この他にも単独で動くエドとアル(水石亜飛夢)の父ホーエンハイム(内野聖陽)とか、スカーと行動をともにするアルが描かれたりと、同時進行で物語が展開していく そのひとつひとつに背景があるので、それらをいちいち説明していては尺が足りない 映画はコミックスの最終章を映像化しているのだが、映画としてはこれが3作目でしかない なので、相当端折らざるを得ず、ほぼ「アニメかコミックのどちらかを全部知っている」という前提条件が必要となっている 知っていること前提で進めるなら多くの設定は無視できるが、そもそもが完全なファンタジー世界なので、ある程度の世界観の説明は必要である それは1作目が担っていたわけだが、1作目の公開は2017年なので、5年以上経っていては続編感もなく、かといって見直すほどクオリティが高いわけでもない 1作目の次がいきなり完結編という暴挙になっているが、完結編を二部作で行うのは規定路線なのだろう 1作目がヒットしていればその後の展開も読めたが、結局のところ、とりあえずプロジェクトを終わらせるために完結編を作らざるを得ないという「約束」だったのかなと邪推してしまう 物語の文量を考えると、「復讐者スカー」で前後編、「最後の錬成」で三部作ぐらいの物量は必要だが、そこまでの予算は捻出できないだろう 肝心の「最後の錬成」であるが、率直な感想は「なんとか終わらせることはできたね」というもので、クオリティ以前の問題であると思う 一応は原作準拠で映像化をしているシリーズなので、原作の実写再現以上の意味を感じない この時間でこれだけ詰め込むしかないところに、「復讐者スカー」で登場した主要人物を全部出すという苦難が待ち受けていたので、これ以上を望むのは酷だと感じた 物語のテーマは等価交換ということで、アルを元に戻す旅を続けるエドを描いていて、その終着点は「自分の能力と等価交換する」というところに落ち着いている そこに持っていくために、ホムンクルスとの戦いがあり、お父様の企てがあり、そして、真理の扉にいく必要があった 人体錬成をすることでたどり着ける真理の扉は、いわば人類の驕りと感情を凝縮させたような場所であり、有限なるものを過剰に得ようとすると、その代償は計り知れないというわかりやすいものだったと言えるだろう 原作がしっかりしているので物語自体は綺麗にまとまっているものの、この壮大な物語とキャラクターは3作7時間程度で語れるものではないので、企画自体が無理難題だったということだろう ある意味、企画の取っ掛かりである1作目から三部作で作るぐらいの想定が必要で、ぶっちゃけると無能なプロデューサーが売り方を間違えただけのように思えてならない もう少しまともなプロデューサーで計画性があって、さらに資金を調達できれば大化けコンテンツになる可能性はあった キャラクターに寄せる映像の再現度は「今しかできないもの」なので、それを考えると、安易にことを運んで壊した罪というのは裁かれて然るべきなのかもしれません いずれにせよ、乗り掛かった船なので最後まで乗っていたが、やはり色々と無茶が多すぎて、これほど観客の事前知識と鑑賞中の脳内補完を強いる映画というのは稀だと思う 初見でいきなり完結編を観るチャレンジャーはいないと思うが、キャストのファンが観に行って1ミリも面白くないだろう とにかくは無茶な企画に時間を割くことになった各方面にお疲れ様という映画なのかもしれません

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