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君を想い、バスに乗る
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君を想い、バスに乗る

THE LAST BUS

862022年6月3日公開

dnn********

4.0

ネタバレ1300キロ愛の巡礼

いい映画でした。私の評価は★4.0/5です。   あらすじは次のとおりです。完全「ネタバレ」ですので、ご注意下さい。  物語は、末期癌となった妻メアリーを見送った90歳のトム・ハーパーが、住まいとしていたスコットランドの最北端の町から、イングランド最西端のエンズランドまでの1300キロを、福祉政策で手にした無料パスを使って、バスを乗り継いでいくロードムービーでした。  途中、バスの中で寝過ごして終点まで行ってしまい、宿が取れずに路上で蹲ったり、大切なものが入っているカバンを置き引きされそうになったり、無料パスはイングランドでは無効だとバスの運転手に言われて荒野に取り残されたり、ロンドンの街中ではイスラムの女性を庇ったために反イスラムのチンピラに絡まれたりと、いろいろな困難に遭遇しますが、多くの親切な人々のサポートを受けて、旅を続けます。  ある日乗っていたバスが交通事故を起こして、ケガをしたトムは病院に運ばれ、医師からこのまま入院治療をするよう促されます。実はトム自身も末期癌に侵されていたのでした。しかし、トムは医師の制止も聞かず、「私には時間がない、行かなければならない場所がある、しなければならないことがある」と言って、旅を続けるのでした。  トムのことを見聞きした多くの人が、SNSに動画を投稿したために、トムは「バスの旅を続ける謎の老人」として話題になり、本人が知らぬ間に有名人になっていました。  ランズエンドに辿り着き、トムは共同墓地を訪れます。そこには「マーガレット・ハーパー」の墓があり、1951年12月25日~1952年12月24日と刻まれていました。それは、トムと愛妻メアリーの愛娘マーガレットの墓でした。愛娘を失ったメアリーの心の傷を癒すために、2人は故郷のランズエンドを去り、最果てのスコットランドへと移住していたのでした。(墓碑の日付と名前はうろ覚えでした)  「しなけれないけないこと」とは、妻メアリーと約束した愛娘マーガレットの墓参でした。トムは、カバンの中から親子3人で写った写真を取り出し、お墓に供えました。  そして、最終目的地のランズエンドバス停に着きました。そこには、大勢の人々がトムの到着を待っていました。「何事ですか」と尋ねるトムに、人々は「あなたを待っていました」と答え、拍手を送りました。  事情を知らないトムは、人々に構うことなく、岬の先へ伸びる防波堤の上をそろりそろりと歩いて行きました。そこは、トムとメアリーが愛を誓い合った思い出の場所でした。  トムは大切に持ってきたカバンを開け、中から菓子箱を取り出し、蓋を開けて、海へ撒きました。それは亡きメアリーの遺灰でした。そして、「メアリー、愛しているよ」と呼び掛けるのでした。  最後は涙が零れてくるのを我慢することは出来ませんでした。  私たちもいつかは、連れ合いを亡くす日がやってきます。夫と妻、どちらが先に逝くか判りませんが、その日が来るまで、そしてその後も、互いを思いやっていきたいと思っています。 追記:ランズエンドへのバス旅に出かける最初のシーンで、すれ違った若い夫婦は70年前のハーパー夫妻だということが見て取れました。旅の途中、何度も昔の二人が回想として出てきました。映画として、いい手法だったと思います。

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