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Blue Island 憂鬱之島

972022年7月16日公開
Blue Island 憂鬱之島
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(1件)


  • まっとさん

    4.0

    150年の歴史に通底する香港人のメンタリティ

    観終えての感想は「勉強になりました」という感じです。香港そして香港人のメンタリティやアイデンティについて、近年の民主化運動での報道とは異なる、もっと俯瞰的で深い考察をしている作品だと分かりました。  作品の構成では後半に出てくるのですが、香港を語るには150年の歴史を紐解く必要があるとのこと。それは清朝後にやってきたイギリスの植民地化に始まりました。  作品構成とは異なり、時代順の説明になりますが、最初は1967年に起きた「67暴動」です。これは1967年、文化大革命の影響を受けた左翼の人びとが、イギリス植民地の香港政府に対して起こした暴動で、自由や人権を求めての活動ではありません。  当時の活動家は投獄され、苦い思いを味わったようですが、いまでは香港の著名な経済人でしょうか、かなり高い地位についている様子。若き時代の活動を教訓にしていまは政治にかかわらないでいるようです。  そしてその時にたくさんいたのは文革を恐れ香港に逃げてきた人びと。香港島と九龍半島を隔てる海峡のビクトリア・ハーバーを毎日のように泳いでいる頑健な老人もそうです。これだけでも別の意味で凄いのですが、20代の時に妻と中国本土から海を泳いで香港に逃れてきました。去年までは民主化運動を支持していました。  これでお分かりのように、香港人とは「香港人である」というより「香港人になる」というアイデンティティがありますね。決死の思いでやってきたわけですから、よけい香港への思い入れが強い。日本人の比ではありません。  また1989年の天安門事件の時には、香港では民主派支持で大規模がデモが頻発しました。その運動を背負った方も登場していて、いまでは香港の街でよろず相談を請け負う弁護士をしているようですね。彼もまた投獄されているようです。去年までは民主化運動を静かに応援していました。  投獄されても、腐らずに弁護士になれるという事実はへぇ~と思います。  つまり香港では、右や左とは関係なく、自由や人権だけでもなく、香港のおもに若者のエネルギーとしての大規模運動があるという印象なのです。  つい去年までは民主化運動でした。自由を求めていたのは確かですが、それだけではないような印象なのです。香港のエネルギーの放散とでもいいますか、ふつふつとたぎるものが香港にはあるということ。そしてそれはいつの時代も挫折を伴ってきました。巨大権力中国共産党を前にして香港の若者たちはほとんどが捕まり投獄されます。それは「憂鬱」な事態です。  しかし、それでも若者たちは香港社会でちゃんと生きてゆくのですね。(昨今では海外に亡命する人もかなり多くなりましたが)  それも「憂鬱」なことかもしれません。    この作品に登場する人々がどれだけ香港人のメンタリティを代表しているかは不明ですが。

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