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泳ぐひと

泳ぐひと

THE SWIMMER

94

じゃむとまるこ

5.0

天動説の人の末路

天動説の人=自己中ということだけれど・・・人は誰でも自分が大事、けれど自分だけが大事という人もいる、自分が一番大事だけれどそれだけでは生きていけないということがわかっていなくて他者を搾取して平気な人。 この映画はそういう人の人生の末路を不気味に見せてくれる。 見せ方が実に個性的、何ったって主人公はラストまで海パン一枚。 主演は肉体美を誇るバート・ランカスター・・・この方肉体派俳優からついにはヴィスコンティ映画の貴族にまで上り詰めた人、この映画はランカスターあっての出来だと思います。 中年のはずなのに鍛えられた肉体が老いを感じさせない、青い空の下海パン一枚で登場、さっそうと泳ぐがちょっとした違和感あり、髪が薄いような・・・その違和感はどんどん大きくなる。 友人、知人の家のプールを泳いで帰るという、NY郊外の比較的セレブな地域、成功した人たちの住む場所。 彼はどんな人間なのか、彼の語る話は本当なのか。 それぞれの知人宅で見えてくる彼の本性、まだまだ若く見えた彼が正体が見えてくるとともにどんどん老醜をさらしていく。 家族や恋人や仲間を裏切っても罪の意識さえもない、相変わらずだ、口先だけ。 それはなぜかっていうと自己中言い換えればナルシストだけれど、彼には自分しか見えない、他者から見た自分というものを全く想像できない。 落ちぶれはてた彼は不幸だ、でもなぜかはわかっていない、自分が家族も周りの人も不幸にしたとは思っていない、それが数々のエピソードで語られる。 その中のエピソードの一つは彼の本心を表していると思うが、彼は自分のこととしては捉えていない。 人はだれしも自分のことは見えにくいものだ、だからこそ都合の悪いことも見る努力をしなければと思う。 軽い症状だと「人間的だ」で済ませられるが、ここまで来ると破滅しかない。 こわ~い映画です。 アメリカではカルト的人気があるようですが、文学的な映画だと思います。

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