作品レビュー(16件)
- じゃむとまるこ
5.0点
天動説の人=自己中ということだけれど・・・人は誰でも自分が大事、けれど自分だけが大事という人もいる、自分が一番大事だけれどそれだけでは生きていけないということがわかっていなくて他者を搾取して平気な人。 この映画はそういう人の人生の末路を不気味に見せてくれる。 見せ方が実に個性的、何ったって主人公はラストまで海パン一枚。 主演は肉体美を誇るバート・ランカスター・・・この方肉体派俳優からついにはヴィスコンティ映画の貴族にまで上り詰めた人、この映画はランカスターあっての出来だと思います。 中年のはずなのに鍛えられた肉体が老いを感じさせない、青い空の下海パン一枚で登場、さっそうと泳ぐがちょっとした違和感あり、髪が薄いような・・・その違和感はどんどん大きくなる。 友人、知人の家のプールを泳いで帰るという、NY郊外の比較的セレブな地域、成功した人たちの住む場所。 彼はどんな人間なのか、彼の語る話は本当なのか。 それぞれの知人宅で見えてくる彼の本性、まだまだ若く見えた彼が正体が見えてくるとともにどんどん老醜をさらしていく。 家族や恋人や仲間を裏切っても罪の意識さえもない、相変わらずだ、口先だけ。 それはなぜかっていうと自己中言い換えればナルシストだけれど、彼には自分しか見えない、他者から見た自分というものを全く想像できない。 落ちぶれはてた彼は不幸だ、でもなぜかはわかっていない、自分が家族も周りの人も不幸にしたとは思っていない、それが数々のエピソードで語られる。 その中のエピソードの一つは彼の本心を表していると思うが、彼は自分のこととしては捉えていない。 人はだれしも自分のことは見えにくいものだ、だからこそ都合の悪いことも見る努力をしなければと思う。 軽い症状だと「人間的だ」で済ませられるが、ここまで来ると破滅しかない。 こわ~い映画です。 アメリカではカルト的人気があるようですが、文学的な映画だと思います。
- kcc********
4.0点
ネタバレ人間ではなかったら
このレビューにはネタバレが含まれています。 - こばゆうさん
4.0点
町山さんの解説が無ければ「つまんねー映画」で終わってたかもしれないが、 町山さんの解説を聞いて、何とも奥の深い映画とつくづく思わされました。 99.99%濾過されるプール、突然出てくる馬、黒人の運転手、車が絶えない国道、足の汚れをチェックするプール監視員。 全てに意味がある。うーん、深いね。 「おじさんこっわー」と叫びながら逃げる少女に笑えた。 いや、実際は叫んでは無いけど、私には聞こえた。「おじさんこっわーー」w
- kak********
4.0点
「ラン・ローラ・ラン」が”走る”映画ならば、本作品は”泳ぐ”映画といったところ。インデペンデント映画を対象としたサンダンス映画祭で高い評価を受けた「ラン・ローラ・ラン」に対し、こちらはアメリカン・ニューシネマ全盛の頃の作品。どちらも斬新な内容で強烈な印象を与える点は同じである。 物語は、日曜日の午後、プールのある高級住宅地に唐突に水着姿で男が現れる所から始まる。不法侵入者ではなく、昔からの知り合いでしばらく顔を見せていないためか、懐かしげな挨拶が続くのだが・・・突然奇想天外なアイデアを口に出し皆を驚かせる。 原作は、ジョン・チーヴァーの同名短編小説。監督は、クリストファー・リーブの「バチカンの嵐」を手掛けたフランク・ペリー。脚本は監督夫人のエレノア・ペリー。主演は、名優バート・ランカスターである。ところが主役のバート・ランカスターと監督の意見が相違したとかで、途中からシドニー・ポラック監督に引き継がれている。 アメリカン・ニューシネマは1960年代後半~1970年代半ば頃のアメリカ受難の時代に製作された反体制的な人間が描かれた映画を指す。娯楽の伝統とも言えるヒーローやハッピーエンドがないのが特徴で人気スターが出演するには勇気がいる作品であったようだ。 共演は、「欲望という名の電車」でヴィヴィアン・リーやマーロン・ブランドと共演したキム・ハンターや、ディズニーの「白雪姫」でキャラクターモデルに抜擢されたマージ・チャンピオンなど。冒頭から美しい音楽が流れるが、本作品が最初の映画音楽担当となったマーヴィン・ハムリッシュによる。後に「幸せはパリで」や「追憶」などで、心に残る映画音楽を手掛けている。 本作品に初めて接したのはTVだったが、途中から見たにもかかわらず引き込まれてしまった、今回あらためてDVDで鑑賞してみてバート・ランカスターが単なる人気スターではないと再認識できた。微妙にかみ合わない会話から次第に事情が明らかになってくる過程はミステリーというよりホラーに近い怖ささえ感じる。さりげない会話から生じる違和感が明らかになった時全てがさらけ出される。
- スーザン
5.0点
どの家々にもプールがある高級住宅街。 いきなり茂みからとび出してきた海パンいっちょのバート・ランカスター。 そこに居た友人らしき男女との会話、イマイチ状況が理解できない観客。 ”今から家々のプールで泳ぎながら家まで帰るよ” と男は言って走り去る。 やっぱり状況がよく分からない。 しかし話が進むにつれて、だんだんと男の置かれている事情が何となくわかり始める。 そして、あれ?これはある種のファンタジーか?となる。 出発点は、夏の日差しの中を意気揚々と走っていったのに、途中からは枯れ葉が舞い出し、男はしきりに寒がる。 明らかに季節が変わっている。 最後はもはや高級住宅街のプールではなく、市民プール。 しかも、そこではすんなりと中に入れてもらえない・・・。 何もかもが男の過去のメタファーになっているようだ。 隆盛と没落か。 もはやホラーと言えるような背筋の寒くなる映画であった。
- 山岸さとし
5.0点
おそらく1回鑑賞しただけでは、この映画の凄さが分からない。 冒頭の青々と茂った森から主人公が颯爽と走ってくるシーンにも象徴されるように様々なシーンに意味がある。1回目は物語を追う。それ以降はこの映画の細かいディティールを発見して楽しもう。
- oce********
5.0点
タイトルそのままに泳ごうとする人を描いてはいるのだが、それにはある目的がある。 それは家に帰ること。 名前や素性が徐々に明らかになっていくが、富豪のため友人や隣人の敷地のプールを泳いでいく。 その中で久しぶりに出会う者や、元恋人との再会が。 この撮影当時のアメリカは一家に一台プールが置いてあるのが成功の象徴となっている。 これを踏まえて各豪邸のプールを泳ぐ富豪という形で皮肉っている。 進行するにつれ徐々にこの男の全容が分かっていく過程がスリリング。 泳ぐたびに実は…という意味でのラストは、ある意味ホラーのような怖さを備えていると思い知る。
- a24********
5.0点
ネタバレ男は「アメリカの歴史」を泳ぐ
このレビューにはネタバレが含まれています。 - ybe********
3.0点
海水パンツ一丁の主人公が、友人・知人宅などのプールを泳ぎながら、我が家を目指す話。あらすじを聞いても何だかよく分からない人は多いと思うが、映画を観てもやっぱり何だかよく分からない人が多いと思う。でも、多分それで正解。 とても観念的な作品だ。 観方次第で、不条理なSFにも、示唆に満ちた寓話にも、あるいはサイコシスの妄想にも成り得る。私的には、身勝手に生きた男が人生の終わりに見る、一種の走馬灯のようなものという捉え方。自分で言うのはなんだが、わりと想像力に乏しい解釈だろう。 それも含め、観る人の感性に呼応するという点で、映画の多様性みたいなものを感じさせる作品ではある。 ニューシネマの一本として語られることが多いが、少し疑問の残るところ。オールドハリウッドのアダ花的作品にも思える。 観客に夢を見せ続けた旧ハリウッド的映像でありながら、物語そのものに夢が失われているところは、ハイブリッドな雰囲気だ。バート・ランカスターというかつての銀幕スターが主演、そしてその肉体には黄昏が忍び寄りつつある点も象徴的といえるだろう。 実際、本作に前後してアメリカン・ニューシネマが全盛を迎え、映画は変わっていった。 面白いとかいう類の作品ではないが、映画の転換期を象徴する貴重な一本だと思う。
- yag********
5.0点
アメリカの富裕層って、別荘にプールがあって、夏のバカンスには、パーティをして、近所衆を呼んだり、呼ばれたり…。パーティの御馳走は、キャビアの食べ放題…かぁ。 バート・ランカスター出演作品は、「山猫」、「地上(ここ)より永遠に」、「大列車作戦」に続いて4作目です。 前の3作は、かっこいいバートでした。上背があって、活動的で。 でも、この作品は、始めの方は、かっこいいバートでしたが、プールをはしごする毎に、あらら…?何やら、ワケありそうじゃない? もしかして、転落人生?いったい何があったの?と、興味津津で観ました。 ワケは、詳らかにはされませんが、いろいろと、想像できて、観た人の自由な解釈がまた、作品に膨らみを持たせてくれます。 可哀そうでもあり、恐ろしくもあり、人生の浮沈とはこんなもの…を感じます。 バートは、かっこいいだけじゃない、こんな惨め役も好演できたんだぁと、思いました。すごい俳優です。あらためて、惚れ直しました。 私も、お薦めします。
- しん
5.0点
何と言う映画だろう。。。 よく、こんなストーリーと脚本を考えられるものだ。 主人公のネッド(ハート・ランカスター)が終始、「海パン一丁」なのである。 映画の始めから、終わりまでである。。。 そして、田舎の平地から、丘の上の「自分の家」までにある、 「人の家」のプールをハシゴして、泳いで帰ると言う、 何とも不可解なストーリーである。。。 このネッド、口が上手い・・・行く家、行く家の女を、 「僕と一緒に行かない?」と誘うのである。。。 しかも、勝手に「一杯もらおう」と言って酒を飲むのである。。。 お金を要する時は、「明日、君に小切手を送る」と言う ・・・当然である、海パン一丁の手ぶらなんやから。。。 また、都合が悪くなると、「僕は家に帰る」と言って去ってしまう。。。 まるで子供の様な人だ・・・プールに飛び込む時も「腹打ち」してるし。。。 ネッドが移動する時の効果音がもの凄い! 「そんなに音響効果いらんやろ!」である。。。 馬と競争するシーンや、女とハードルやるシーン等がそうであるが、 ちょっと笑ってしまう・・・「この人、大丈夫か?」と思ってしまう。。。 そう・・・神経は大丈夫? 頭大丈夫? である。 (これは、あくまで私の想像である) そして、段々と、「自分の家」に近づくにつれ、人々のネッドに対する 接し方が変わってくる。 この映画、精神的に怖い映画である。。。 何故ネッドは、海パン一丁なのか? 何故、そんなにプールで泳ぎたがるのか? 何故、自分の家まで、他人の家のプールをハシゴするのか? ネッドには家族はいるが、名前は出てきても、 一回も登場しないのは何故なのか? 実は全て想像に委ねられ、その原因はわからない。。。 また、想像に委ねられる分、恐ろしい事を想像するのである。。。 そして、ラストは背筋がゾクッと凍る思いだ! ホラー映画ではないが、ある意味ホラーより怖いかも・・・ 「ミツバチのささやき」以来の、摩訶不思議で想像させられる映画だ。 恐らくDVD化されてないし、 後味も良くないので、余りお勧めできないが・・・ しかし、一度は観ておきたい映画である。。。 名作である事は間違いない。 「PS」・・・お気レビの皆様へ 8/29~9/1、及び、9/6~9/8までは、都合により レビューを休ませて頂ます。 お気レビ様のレビューは、時間の合間に、 全て拝読させて頂きますので、ご了承下さい。
- hir********
5.0点
これは、若い時、名画座で観た時、ピンと来なかったんだけど、 今、観たら、何て言うかエグラレル様な怖さだね。ゾッとした。 そして、誰しもが逃れられない、この恐怖を自分はどう対処するのか? 真面目に考えなきゃな・・あ~こんなに、怖い話だったとは・・ また、演出の仕方がうまいよね・・初めは颯爽としててさぁ・・ バート・ランカスターも若々しいのよ。 それが・・・ 最後なんて・・・画面正視できないよ、怖くて・・・ 人間って何だろう? 人生ってなんだろう? 俺はこのひとみたいには・・って言える? アラフォー世代の人、今悩んでる人は、絶対コレ観ちゃまずい。 ある程度、順調にいってる人、ヒマがあったら、観てください。 下手なホラーより、胸にズシンと恐怖が産まれます。
- los********
5.0点
苦しくて仕方がない映画。ずっと前に観たけど忘れられない。 苦しすぎて涙なんて一滴も出ない。そしてかなり後を引く。 実のところ二度と観たくはないんだが、でも今までで観た映画のベストを無理矢理決めてみたら…多分10位には入れてしまうだろう、そんな奇妙な映画です。 わざわざ沢山の人を死なせなくても、悲しすぎて苦しくなるような映画は撮れるのだ。監督に敬意を表す。
- f_k********
5.0点
この悲しみはどの映画にも非ず。 そう言いたくなります。 主演のバート・ランカスターはアクションや西部劇で活躍していた人物で、 アカデミー作品賞「マーティ」の制作もしてたとか!意外ですね。 海パン一丁の男が自宅目指してひたすら泳ぐ、という今では補導どころか公然わいせつ罪で一発アウトなお話です。 家までにたくさんの中流家庭のプールを経由していき、いろんな人に出会う。 もちろん海パン一丁です。 でもみんな仲良くしてくれます。 だって彼はお金持ちで人柄も良いから。 途中に出会う元恋人らしき女の人に言い寄ります。 海パン一丁で告白する勇気下さい。 あれ?おかしいぞ・・・ 家に近づくにつれてみんなに冷たくされる。 あんなに隆々とした筋肉が頼りなく見えてくる不思議。 最後に立ち寄ったプールは近所の市民プール。 手持ちのお金がないので入れてくれと言っても邪険にされ、 お金持ちなのに嫌々ながらお金を貸される始末。 一体なんでなんだ? そしてオチにつながる。 残念なんです。 怖さが異常。 人間のつながりの弱さって儚いものね。 周りの友達とは友情で 恋人とは愛情で 上司とは仕事で(または友情) Yahoo!映画のファンやお気に入りレビュアーといった制度では映画で なにかつながりがあって関係が成立しているのに、 この海パン男といったら・・・ DVDがあるかは不明ですがオススメですよ。 最後に タイトルはラッセ・ハルストレム監督の「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」から引用しました。 ブログの存在意義がついになくなってきたような・・・
- どーもキューブ
3.0点
フランクペリー製作監督、追加撮影監督シドニーポラック。(俳優降板追加代替撮影)ニューシネマ期の不思議なドラマ。バートランカスター扮するナイスボディの男。海パン一枚で、高級住宅地をほうろうする。一回しかみてないがよーく覚えている。まさしく「泳ぐ人」いや「泳がせてくれと頼む人」になる。不可解な主人公、なぁんだよーとすべて見終えて落胆する方もいるかもしれない。しかし、月日がたつと彼の泳ぐ意味が身にしみてわかる。私の頭の中で時々「泳いでわいないのかい?」とバートランカスターが時々たずねてくる。
- yobanhara8
4.0点
ネタバレ溝口健二の、
このレビューにはネタバレが含まれています。