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女狙撃兵マリュートカ

女狙撃兵マリュートカ

SOROK PERVYI/THE FORTY FIRST

91

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5.0

ネタバレロシア革命敵同士の叶わぬ恋と悲劇

これほどストレートに響く悲恋物語を他に知らない。 ロシア革命時、赤軍女狙撃兵マリュートカと白軍青年将校の所詮叶わぬ恋を描いたソ連映画。 捕虜としてとらえられた青年将校を船で連行中に嵐に遭遇。味方二人は海に流され、捕虜と二人無人の浜に打ち上げられたマリュートカ。 漁師避難小屋で助けを待つうちに恋に陥ってしまう二人。しかしイデオロギーの違いゆえにたびたび衝突。互いに罵り合うも本心と肉体は深く愛し合う二人。 幾日か経ったある日沖に船の帆が見え、助かったと安堵する二人。しかしそれは白軍の船。我を忘れて喜び船に駆け寄る青年将校だが、マリュートカの狙撃本能がそれを許さなかった・・・ 20年位前に視聴しラストの悲劇場面が強く刻み付けられていた。 貧農育ち無教養だがボルシェビキイデオロギーにすっかり染め上げられたマリュートカ、貴族生まれで文学の素養があり平和志向、青目ハンサム色男の青年将校。 結局この溝が埋められるなど不可能なことが視聴者にも明らかなだけに、初心(ウブ)な女の子マリュートカが遊び人風でもある青年に心奪われていく様がとにかく痛々しい。※何しろ現地部族少女に色目を使っていたほどの軽薄男。 青年の話にうっとり心を奪われ夢見心地の彼女の顔にこちらが憐れみと哀しさを募らせてしまう。 ラストの「撃つか、撃たないか」という彼女の究極の葛藤と(←反射的な射撃本能が勝ってしまう・・・)、その後のやり場のない悲しさがこれ以上ないほど伝わってくる。 もう60年以上前の作品ながら男女の自然な恋愛をイデオロギーがいかに分断するか、「個を踏みにじる」巨大な内紛の悲劇を明快すぎるほどに描いた作品。 スターリン批判後、雪どけ時代の始まりでなければ作ることが出来なかった作品でもあるのだろう。 総評五つ星

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