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海賊 (1938)

THE BUCCANEER

監督
セシル・B・デミル
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4.33 / 評価:3件

デミル監督の愛国心が色濃く反映されている

  • rup***** さん
  • 2014年12月15日 23時38分
  • 閲覧数 462
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

セシル・B・デミル監督の作品の中でもアメリカの古い時代を扱ったものについては、広い意味では西部劇としてジャンル付けされているものであっても、アメリカ合衆国史の中の出来事の1つとして位置づけるような視点から描かれているものが多いのですが、この映画もそのような作品に準じたものとなっていて、単に海賊を描いた娯楽作品とはなっていないのが特徴的です。

本作は、米英戦争が行われている頃のアメリカが舞台になっていて、ニューオーリンズ近くのバラタリア島のバイユーを根拠地とする海賊たちが活躍する姿が描かれています。彼らは皆祖国を追われて国を持たない者たちですが、彼らのリーダーであり、最後のバッカニア(カリブの海賊)として有名なジャン・ラフィットはフランス人でありながら、アメリカを祖国のように愛する人物として、デミル監督の思いを乗せた役割を果たす存在となっています。手下である海賊船の船長が独断でアメリカ船を襲い、オランダ女性のグレッチェンを除く乗客を死に追いやったことを知るや、激怒してその船長を処刑してしまいますし、イギリス軍からの協力要請はきっぱりと断る一方、彼が味方をすると決意したアメリカ軍のアンドリュー・ジャクソン将軍の艦隊に対しては、集中砲火を受けて手下たちがバタバタと倒れていく中でも、一切反撃を許さず、ひたすら星条旗を振って自分たちが友人であることをアピールし続けるというアメリカ愛にあふれる場面が続きます。

ラフィットは、ジャクソン将軍に捕えられた手下たちの救出に向かいますが、その折も折、イギリス軍の攻撃が始まったため、戦力不足のアメリカ軍に協力して海賊たちがイギリス軍と戦い勝利をおさめます。ラフィットたちは、アメリカの人々から称賛を受けて、晴れてアメリカ国民として認められるかと思われたのですが、皮肉なことに、以前に手下が行ったアメリカ船襲撃の事実が明るみになり、一転糾弾を受ける立場へ追いやられることになります。この逆転劇により、ラフィットを代弁者とするアメリカ賛美一色の映画にはなってはいませんが、彼に対するジャクソン将軍の寛大なフェアプレー精神が示されるので、最後までアメリカ礼賛の姿勢は貫かれているといってよいでしょう。

ナチスが台頭し、第2次大戦の開戦が間近に迫った時期でもあり、デミル監督としては海賊映画というよりは愛国の精神を高らかに謳う作品として本作をつくったものと思われます。したがって、今の日本人の立場から見て楽しめるかというと、正直なところ疑問符が付く内容でしたが、デミル作品らしい大作の雰囲気は味わえました。

ラフィットを演じるフレドリック・マーチは、少々華やかさには欠けますが、歴史物にふさわしい存在感を見せていましたし、ラフィットの手下として、エイキム・タミロフや若き日のアンソニー・クインの姿も見られます。また、ジャクソン将軍の部下としてクロケット帽をかぶったウォルター・ブレナンがいつもながらの年齢不詳の風貌で出てくるのも見どころです。

そして、個人的には、襲撃されたアメリカ船の生き残りでラフィットたちと行動を共にすることになるオランダ娘グレッチェンを演じたフランチェスカ・ガールの演技を今回初めて観ることができたのが大きな収穫でした。大作のヒロインという印象ではありませんが、キュートな魅力を感じる役柄を演じて、作品の雰囲気に合っていました。ヘンリー・コスター監督がヘルマン・コステルリッツとしてハンガリーで映画を撮っていた頃に彼女がヒロインとして主演した「ペエテルの歓び」「カタリナの幸福」といった作品を観てみたいですね。

本作の20年後には、デミル最後のプロデュース(製作総指揮)となったリメイク作「大海賊」が公開されます。

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