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快楽

快楽

LE PLAISIR

94

bakeneko

5.0

ネタバレ愛は歌の様に、恋は花の様に…

モーパッサンの短編:「仮面」、「メゾン・ド・テリエ(テリエ館)」、「モデル」の三篇をマックス・オフュルス監督が映像化した作品で、愛に生き&愛に悩む19世紀のフランスの男女の息使いが感じられるフランス映画の名作であります。 90分の上映時間で3篇の映像化ということで、各エピソードが均等に30分くらいかなと予想していると、第一話「仮面の男」と第三話「モデル」が15分の短編で第二話の「メゾン・テリエ」が60分という不当分な創りとなっています。 「仮面の男」-映画のオープニングから19世紀のフランスの舞踏会の絢爛さに見惚れさせてくれる第一話で、郊外から館の中に入っていったカメラが“踊り&愛を囁く”男女を立体的に動き回りながら映し出す映画的躍動感は見事であります。若い盛りを過ぎても女性を求める男の哀しい?性と夫を愛する妻の心情に、夫婦の愛の断片を見せる一幕劇であります。 「メゾン・テリエ」―港町の娼館の娘達の一両日の郊外旅行を生き生きと描いて、ルノワールの映画にも共通するフランス的感性の中核となる-“愛と恋が生きる喜びに結びついている庶民感”を醸し出している傑作であります。 ノルマンディの娼館:メゾン・テリエの女将:(マドレーヌ・ルノー)が田舎に住む弟(ジャン・ギャバン)の娘の聖体拝受式に参列するために、ローズ(ダニエル・ダリュー)ら娼婦たちを連れて里帰りする。女の子達は汽車の旅や馬車での陽光溢れる田園風景に天真爛漫の笑顔を魅せ、田舎教会では都会の華やかな貴婦人達の参加に村人は歓喜する-という素朴な庶民の小さな日常からの逸脱と感情の発露を活写しています。 第一話の室内から第二話では郊外に飛び出したクリスチャン・マトラの映像美が素晴らしく、ダニエル・ダリューら女優陣の美しさと個性も眼福であります(ダニエル・ダリューは歌声も聴かせてくれます♡)。娼婦とい職業の悲惨さの翳りも見せないあっけらかんとした様子や教会での信心深いイノセントさ、弟の家での差別のない対応などは、「プリティーベイビー」などの“娼館を女性の闊達なビジネス&生活の場”として映し出したフランス映画の生理感覚を観ることができます。 「モデル」-画家ジャン(ダニエル・ジェラン)とモデルのジョゼフィーヌ(シモーヌ・シモン)の物語で、深い仲になった為に還って疎遠になってしまう男女の愛情とその不思議な再安定の結末を映し出して、“男女の愛情のアンヴィバレンツ”を浮かび上がらせている短編で、第一話で室内、2話で田園地方を映した映像は海岸で幕を閉じます。 「輪舞」と同様にマックス・オフュルス監督の話術とカメラワークで19世紀のフランスの男女模様を活写している傑作で、使われているフランスの古いシャンソンも懐かしいですよ! ねたばれ? オフュルスの「歴史は女で作られる」「輪舞」などの名手:クリスチャン・マトラが撮影した1、2話から、第3話のカメラは「幸福への招待」などのフィリップ・アゴスティニにバトンタッチしています。映像美ではマトラに適いませんが、クライマックスのアクロバティックなカメラワークでは二度観するような映画映像を創り上げています(あまりに見事だったので、後でトリュフォーが「ピアニストを撃て」でそっくり引用していますよ!)

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