カオス・シチリア物語

KAOS/KAOS, CONTES SICILIENS

187
カオス・シチリア物語
4.4

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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(7件)

悲しい9.8%ロマンチック9.8%切ない9.8%不思議7.8%ファンタジー7.8%

  • bakeneko

    5.0

    ネタバレ混沌の内から輝くものは?

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • 一人旅

    5.0

    シチリア、風景美の旅

    パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督作。 シチリアに生きる、様々な事情を抱えた人々の人生を描いたオムニバス形式の大長編。 『サン★ロレンツォの夜』『グッドモーニング・バビロン!』のタヴィアーニ兄弟による叙事詩的人間ドラマの力作。全5エピソードで構成されるオムニバス形式の作品だが、各エピソードには地理的&人物的にゆるやかな繋がりがある。あるエピソードで映った風景や人物が別のエピソードでふたたび映され、エピソードとエピソードの間には鈴をつけたカラスが空を舞う姿が映し出される。 全エピソードが印象深く、人生の哀しみ・可笑しみをさまざまなタッチで描いていく。全てのエピソードに共通しているのは、圧倒的風景美。特に、砂浜の白や地面の白、家屋の白など、眩しいくらいの“白”が画面に良く映えていて、青空とのコントラストが最高に美しい。 各エピソードを「哀しみ・可笑しみ」基準で5段階評価してみると... 第1話「もう一人の息子」 哀しみ :☆☆☆☆☆ 可笑しみ:☆ 第1話からいきなり重苦しく絶望的な内容。シチリアからアメリカに旅立った息子たち。故郷に取り残された母は息子たちに手紙を書こうとする。しかし、実は母には近所に暮らすもう一人の息子がいて...というお話。もう一人の息子を巡る母の耐え難い苦痛の記憶が、母自身の口から語られていく。“肉親間の愛情”すらも許されない非情な現実が、ただただ哀しく切ない。 第2話「月の病」 哀しみ :☆☆☆☆ 可笑しみ:☆☆ 簡単に言うとシチリア版“オオカミ男”のお話。満月の夜になると狂乱する夫と、結婚したばかりの妻の姿を描く。夫婦の関係に、妻の従兄が絡んだ三角関係の愛憎劇が展開され、家の外で一人発狂する夫と、家の中でいいムードになっていく妻と従兄の対比が強烈。夫からしてみれば、満月なんか見なくても充分発狂できる気もするが...。 第3話「甕(かめ)」 哀しみ :☆ 可笑しみ:☆☆☆☆☆ 全エピソードの中でこのお話が一番ユーモラス。前2話と違って、内容の重々しさや深刻さは随分和らぐ。農場を営む大地主が買った巨大な甕が一夜にして割れてしまう。修理を依頼された男は割れた甕をすぐに元通りに直すが、その際、自分自身が甕の中に閉じ込められてしまう...というおバカさんのお話。「甕を割って脱出したい男」VS「自分の所有物である甕を割られたくない大地主」の心理戦は機知に富んでいて面白い。 第4話「レクイエム」 哀しみ :☆☆☆ 可笑しみ:☆☆☆☆ このお話も第3話の流れを引き継いで、ユーモラスな内容。村に自分たちの墓地を建設したい村人の一群と、それを許さない地主の伯爵の対決を描く。自分の墓に埋葬されたい長老が、墓穴の前で静かに死を待つ姿がとてもシュール。いつ死ねるか分からないのに、「私が死ぬまで見守っていてくれ」と無責任な発言をする長老。仕方なく長老のそばで強制待機させられる無数の村人の姿が可笑しい。早く死んであげて...! 第5話「母との対話」 哀しみ :☆☆☆☆ 可笑しみ:☆ エピローグとなる第5話。最後はしっとりと締める。本作の原作者である小説家ルイジ・ピランデッロが故郷シチリアへ戻ってくる。母を亡くしてから初めての帰郷だったが、一人実家で過ごすルイジの前に死んだ母の幻影が現れる...という幻想的なお話。幻影の母から語られていく、幼き日の母の記憶。帆船に乗った亡命の旅。幼い母と兄妹が辿り着く軽石の島。ここにきて、本作最大の絶景が広がる。急斜面の白い砂丘から、スカイブルーの海に向かって一気に駆け下りていく子どもたち。時代の荒波に巻き込まれ、亡命せざるを得ない現実の中で訪れる束の間の至福、解放。ピランデッロが今を生きる暗い現実と、亡き母の色褪せない美しい風景の記憶。圧巻のコントラスト。素晴らしい。

  • pta********

    5.0

    イタリア落語「カオスシチリア噺」

    90年代前半頃のことだったでしょうか?NHKBSで「ヤングシネマパラダイス」という番組がありました。司会は泉谷しげると確かその後NYへと旅だった長田綾奈という綺麗なお姉さんでした。 この番組から受けた影響はとてつもなく大きく、それはその後の進路さえ決めてしまったといっても過言ではありません。塚本晋也「電柱小僧の冒険」「鉄男」はこの番組で見たし、阪本順治や鈴木清順の荒戸源次郎映画を知り、石井隆に勃起し、フランス映画界の「恐るべき子供たち」を本気で恐れ、香港ニューウェーブ、ウォンカーワイ、ジムジャームッシュに、迷走中のヴィムヴェンダースなどなどを教えてくれた、僕にとっての映画筆おろし番組でありました。 学校の勉強なんかしている場合ではない。映画界ではとんでもないことが起きてる!と愚かにも感じてしまったのです。それからというもの僕は時代の波に取り残されてはなるまいとビデオ屋に走り、映画館へ通い、映画本などを読み、頭をパンパンに膨らませたのでした。ただし、これは僕の大いなる勘違いであって、現実にはバブル景気が崩壊し、とくに日本映画界は全く元気のなかった時期だったのでした。僕はそんな当たり前の勘違いに気づくことなく、何とか高校を卒業し、とある映画監督がつくった学校へ通うこととなりました。こんな風な人間は果たして他にもいるのでしょうか?知りたい気もしますが、そんなこと恥ずかしくてとても聞けません。 本作「カオスシチリア物語」は最初にこの番組で見ました。確か長尺映画特集だった気がします。187分ある大作です。ただしオムニバス形式であり、そこまで長いとはあまり感じません。(と思う。DVD化されて以降、何度も見ているが、さすがに長いと感じることもある。) カオスとはシチリア島にある村の名前です。コルレオーネ村の位置とともに、これは地図で調べてみなければなりませんね。 内容はシチリア版遠野物語といった、村に伝わる民話を集めたような映画です。ただし内容は「まんが日本昔ばなし」的ではなく、あくまで現代的です。 ・カラスのタマゴをもてあそぶ羊飼い。 ・何故か近くにいる息子を忌み嫌う母。 ・満月の夜になると気が狂う男とそれに悩む妻。 ・巨大な壷に自ら綴じ込められた男。 ・墓地をつくるために地主に抗議する村人たち。 なぜかこう書いていると、何となくイタリアン落語「カオスシチリア噺」といった感じを受けますね。談志師匠のいうところの「人間の業」のようなものを描いているからでしょうか。ヨーロッパ映画は取っ付きにくい感じを持たれる方もいるかもしれませんが、フェリーニ、マカロニウェスタン、イタリア産スケベ映画なんかもそうですが、イタリア映画は、どこか落語的で日本人にはとても親しみやすいのではないでしょうか。 僕は深夜、本作をテレビで見終わった後に鼻血を出しました。まさにシチリアの海の碧さにのぼせ上ったのでした。 その後タヴィアーニ兄弟の映画「父/パドーレ・パドローネ」「サン☆ロレンツォの夜」「グッドモーニング・バビロン!」を見ましたが、そのどれも傑作であり、これらのほうが映画としては上のような気もしますが、個人的には初見でのインパクト、極私的思い入れで「カオスシチリア物語」を是非押したい(どこに?)と思います。 僕が知らないだけなのか、近年タヴィアーニ兄弟の話題がなかなか上らない気がします。再び彼らの話題の新作を見たいものです。 しかもなが~いやつを…。

  • mor********

    2.0

    確かにカオスですけど・・・

    鳥が飛んで、物語が変わるオムニバス。 どの話も、絶望と矛盾(カオスだからわかります。) 印象に残るものの、好きになれなかったです。 それが狙いかもしれません。

  • ves********

    5.0

    泣けるエピソードが秀逸

    話は5編のエピソードで構成されます。 ストーリーは、心に残るもの、胸が痛くなるもの、なんだか忘れちゃったもの(笑)、いろいろです。 シチリアのイメージといったら、明るい太陽、パスタにピザに、太ってよく笑うお母さんに、マフィアに…。 そんなイメージとは、ちょっと違うシチリアも観れるかもしれません。 イタリアの歴史はルネッサンス期などはおなじみだけど、あまり触れたことのない近代もこの映画で知りました。 プロローグで人々がカラスの首に鈴をつけ、「ムジカ!(音楽!)」と叫んで解き放つ。スカンと抜けたシチリアの空と山。もう、涙腺がウルッときていた。いかん、私は鳥瞰図に弱い。 最初のエピソード「もう一人の息子」でまた、ウルッとくる。 一度ゆるんだ涙腺はなかなか元に戻らない。 母が待ちこがれているのは、アメリカに出稼ぎに出たまま便りもよこさない冷たい息子、 母が忌み嫌っているのは、片時も離れず母を愛する心優しい息子。 その理由が、つらい。 心優しい息子が声を殺して嗚咽するシーンがまた、つらい。 日本映画だったら抱擁して終わるような場面で、シチリアのお母さんは頑固なまでに「女」である。 「月の病」 満月になるとけだもののように暴れだす(変身するわけではない)新婚の夫。 新妻は恐怖で実家に帰るが、夫に懇願され戻ってくる。 戻るにあたっての条件、新妻がそこに秘めたのは、シチリア女の情熱だあ!! 「マリア様、一度だけ、私によろこびをお与えください!」 そして結末は、うーん、人情と純愛と寛容。 「かめ」 ちょっとユーモラス。大農園でオリーブを入れる大きな瓶(つぼ、ですな)が割れた。それを修復するためやって来た、伝説の「にかわ」を持つ修復師と農園主との丁々発止。 農園で働く人々が生き生き描かれます。 「レクイエム」 地主の土地に勝手に住み込み、生活する村人たち。村人は墓地を作る許可を地主に求めるが、門前払い。墓地を作ると住んでいるという既成事実が強くなってしまうので、地主は警官を派遣して阻止しようとする。 そこで長老がとった案…。 エピローグ「母との対話」 他のエピソードとは少し毛色が変わり、故郷へ帰った原作者ルイジ・ピランデルロが、亡くなった母と対話するという内容になっている。少女の頃に父親を追って亡命した経験を持つ母の話である。 亡命途中の少年少女が途中立ち寄った軽石の島。腕をひろげて海に走り降りる様をみて、またウルッときた。 幻想のように白い軽石の島、青い海…どんなCGだってかなわないぞ。 全編通して描かれるシチリアの風景。 監督のタヴィアーニ兄弟は、広大な風景の中に、顔がわからないくらい小さく人が映っているシーンをよく使います。 その乾いたうす茶色い大地と、その中で生きていく人との、切っても切れない関係が切々と伝わってきてすばらしい。 人は、まさしく、この大地の上で生きている。というメッセージが伝わってきます。 人と人との関係も、情感にあふれ、日本人のウェットなところに訴えかけるものがあります。 観るたびに、シチリアに行きたくなるので、ちょっと危険な映画。 1話1話、じっくり描かれているので、どの話も見応えアリ。 その分長丁場になります。 シチリアの美しい風景に見とれているとホントに夢の世界に連れて行かれそうになるので、根性いれるか開き直るか(休憩いれるとか)して、ご覧ください。 20年ぶりくらいで押し入れからTV録画したビデオを発見。 CMの古さにもびっくりしたが(VHSのビデオデッキが16万か…)、 第4話「レクイエム」の内容がすっかり記憶から抜け落ちていたのにびっくり。 あっれー、1回は劇場で観たはずなのに…寝てた??

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
カオス・シチリア物語

原題
KAOS/KAOS, CONTES SICILIENS

上映時間

製作国
イタリア

製作年度

公開日
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