あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(5件)
- カーティス
3.0点
ジョン・ルカレ原作のスパイ映画。亡命希望のポーランドの青年が、イギリスによってスパイに仕立て上げられ、東独に潜入させられるという話。 『引き裂かれたカーテン』や『ファイヤーフォックス』のような、いわゆる素人スパイものなのですが、任務よりも人間ドラマを重視しているのが本作の特徴。スパイをやるはめになった青年の苦悩やロマンスが主に描かれています。スパイになるための訓練描写はあまりないですし、東独に潜入するのは映画が半分過ぎてから。潜入後は、スパイ映画というよりはロードムービーのような雰囲気になるので、アクションやサスペンスを求める人には向かないかもしれません。 一連の諜報活動を通して描かれるのは、諜報戦の非人道性と、組織批判であり、スパイスリラーを見ているというよりは、スパイを題材にしたアメリカンニューシネマを見ているような印象を受けました。(ちょうど時期は同じなんですよね)個人的には嫌いじゃないです。諜報戦の馬鹿馬鹿しさを、シニカルかつ悲劇的によく描けていると思います。ただ、全体的に、生死をかけた戦いという緊迫感がなかったのが残念です。 個人的に好きなのは、東独潜入後のロケ地。地平線の向こうまで続く黄金色の小麦畑や、木洩れ日が綺麗な森林、古風な石造りの橋といった景色の数々が美しいです。殺伐とした諜報戦と対照的な、のどかな風景だったことも相まって、とても印象に残っています。
- じぇろにも
3.0点
スパイ
- syu********
5.0点
『ナイロビの蜂』のジョン・ル・カレ原作、『スター誕生』のフランク・ピアソン監督によるサスペンス。ル・カレの映画化第二作。冷戦最盛期の東ドイツを主舞台にし、新型ミサイル基地をめぐる英ソの諜報戦を描いた. スマイリーの所属するイギリス外務省直系の諜報部ではなく、陸軍系の諜報機関(MI6?)にスポットを当てているのが味噌。第二次大戦では華々しい活躍をした組織だが、現在は外務省系に主導権を奪われていて、政府内でも存在感が希薄になっている有り様。そこでトップは東ドイツへスパイを潜入させてミサイル基地の情報を得ると同時に、この作戦を機に予算拡大を含めた組織の復権を画策する、これが大筋だ。 窓際的部署が昔日の栄光を思い出して奮起する、というフツウに書けば男たちの活躍を描いた陳腐な感動巨編になりがちな話を、ル・カレは組織のトップを時代錯誤気味のはねっ返りと捉え、あくまでアイロニカルな視点で諜報戦に巻きこまれた人々を描いている。まさに鏡の国(=お伽の国)の戦争のように。 東独潜入を命じられるポーランド系のスパイ・ライザーが真の主役だろう。冒険小説系の作家だったらライザーのスリリングな活躍を全面に押し出すところだが、本書では物語の約三分一をスパイの訓練シーンに当て、実際の潜入作戦が始まるのはお終い近くになってからだ。その時、レイザーはホテルの前の道路を地響きを立てて運ばれるミサイルを見た。時をうつさず、ミサイル確認の発信をするレイザー。だがその時、機関銃の無数の銃弾が、2人の肉体を蜂の巣のようにつら抜いていった。今、平和共存の世界の暗部で2つの青春が意味もなく散った。 テイラー・オブ・パナマ(2001)ロシア・ハウス(1990)「寒い国から帰ってきたスパイ」(1965)どれも重厚なタッチが特徴
- par********
4.0点
ジョン・ル・カレの原作では四十代後半の設定だったライザーを20代の密入国者の若者に設定し、 それほどウェートを占めないアンナ(ピア・デゲルマルク!美しい!)のキャラを膨らませたあたり ……時流を反映した若者の悲劇として描かれた映画版。 結構好きです。映画の印象として、東独人の方が人間味豊かに見えるのもいい。対して英国側はエイブリー(ホプキンス)を覗き、ひたすら薄情で打算的(笑)。諜報活動の訓練の描写が今観ると たるく感じる方もいるでしょうが、原作もこのような感じ。 むしろ適度に削ぎ落としている。 無意味なオペレーションで諜報員を使い捨てにする西側機関のあり方を問うテーマだったのです。
- sei********
4.0点
ネタバレ冷戦下のスパイ映画の佳作
このレビューにはネタバレが含まれています。
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。