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過去をもつ愛情

過去をもつ愛情

LES AMANTS DU TAGE

113

みゅう

5.0

見事なエンディング

フランソワーズ・アルヌールって何でこんなに魅力的なんだろう。 知的でセクシーで陰りがあって。 体が小さく肩幅も狭く、男ならしっかりと手を回してあげて彼女の寂しさを支えてあげたくなるのに、腰が異常にくびれていてどうしてもそそられてしまうアンバランス。 支えたいのにそそられる、父性本能と男性本能を一緒に刺激されるその矛盾にさらされることこそフランソワーズ・アルヌールの魅力を知ることにつながるような?。 クラシックバレエを習っていたといいますから、腰のくびれは鍛えられたもので、人生の方向転換することでヒップが普通の女性のような発達を取り戻すことによって出来上がったシルエットなのかもしれません。 デビュー作がアンリ・ヴェルヌイユ監督の「禁断の木の実」。その後も「過去をもつ愛情」「ヘッドライト」「幸福への招待」と4作品で起用していることからみて、この監督さんも余程アルヌールの魅力にはまっていたんですね。 この映画でもまるで妖艶な美女を舐めまわすように、カメラがアルヌールのまわりを徘徊しています。しかもそれが美しい。夕暮れどきの海辺のシーンの見事さは、有名なあのバート・ランカスターとデボラ・カーの「地上より永遠に」の海辺シーンを超えています。 右腕を顔の横に放り出して横たわりながら意味ありげな眼差しで彼氏をみつめるアルヌール。何と、美しい脇毛がふさふさと恥ずかしげもなく映り込んでいる。美しくもあり、いやらしくもあり、子供は正視できません。こんなもの50年前、白黒テレビが我が家にきたばかりで世間知らずの12~3の少年が見た日には鼻血ドバーッでしょ。 日本のワキ毛女優?とえらい違いです。 アマリア.ロドリゲスが居酒屋で歌った映画のテーマ曲「暗いはしけ」が世界的に大ヒットしてポルトガル民謡である"ファド"の代名詞となったそうですが、ラスト近く酒場のカウンターの背後で病気持ちのギタリストが咳き込みながら奏でた甘い調べの方が私は忘れられない。 そして汽笛がせかすラスト、無事に旅立てるのかそれとも何か起きるのか?、南米に旅立つ船を使った見事なアングルやシーンの数々、ひとつの情感に耽溺してゆくのが真骨頂のまさにこれぞフランス映画のエンディングなのでした。 お互い訳あって連れあいを殺した過去をもつというストーリーが今ひとつ無理があるものの、映像のセンスがここまでいいと、もう関係ないや…。 疑心暗鬼の愛に悩む二人につきまとう刑事トレヴァー・ハワードがいい味だしてました。

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