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カサノバ (1976)

IL CASANOVA DI FEDERICO FELLINI/FELLINI'S CASANOVA

監督
フェデリコ・フェリーニ
  • みたいムービー 28
  • みたログ 136

3.83 / 評価:54件

面白うてやがて哀しき花火かな

  • bakeneko さん
  • 2010年5月20日 17時39分
  • 閲覧数 392
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

カサノバの“回想録”に基づきながらも、自由にイマジネーションを広げて、いつものパノラマ的映像サーカスを体験させてくれるフェリーニ全盛期の最も大掛かりな映画の一つで、捲るめく色彩や驚くべき映像と音楽に引き回されながらも、内包する空虚さの現実感に”はっ”とさせられる映画であります。

様々な階層と国籍の女性遍歴を物語の主軸にしつつ、18世紀ヨーロッパを舞台に“魂の彷徨”を見せてくれる作品で、幻想の規模の広大さと色彩と音楽のコラボレーションに圧倒される映画であります。そして、女性遍歴と言ってもロマンチックな情感ではなくて、様々な事象や出来事のパターンとして捉えられており、特に性愛描写は機械運動のごとき奇怪で無感情なものとして表現されています(官能的なサービスシーンを期待した方はがっかりすると思いますよ)。
そして、詩人や文化人として身を立てたかったにも拘らず、結局“縁日の見せ物”的な特異人物としてのみ耳目を集めて終わった主人公の一生を空虚な狂騒曲として見せて、現実の世界の怜悧さと苦さも追体験させてくれる作品でもあります。

「サテリコン」と並んで、やりたい放題のスペクタクル&イマジネーションの飛躍が快感の作品で、冒頭の巨大な像が水中から引き上げられるシークエンスから捲るめくフェリーニサーカスが体験出来ます。
映像はジュゼッペ・ロトゥンノ、
音楽はニーノ・ロータ(子守唄“ピンパイン”は必聴の名曲です!)
そして、他のスタッフも全盛期フェリーニ組の仕事の卓越さを見せてくれます。

イタリア→フランス&スペイン→イギリス→スイス→....と各国の言語と美女?が登場する豪華さと国際色の豊かさも瞠目の作品ですが、次第に“老い”が忍び寄る寒々しさが、この荒唐無稽な映画に現実の生の厳しさのリアリズムの観念を吹き込んでいます。

流石に大人限定にお薦めの作品ですが、出来れば劇場で本物の“映画”を鑑賞される事を推奨致します。


(余談)
本作にはクジラの模型の中に入っていく“胎内回帰”描写があります。
かつて私の故郷の水族館には、小高い丘の上に完璧なクジラの形をした“実物大のシロナガスクジラ館”というものがあって、鯨の中に入っていく感覚が大好きでした(この5月に帰郷したら水族館はとうの昔に別の場所に移転したのだけれど、クジラ館は壊されずにまだ残っていて嬉しかったなあ)。フェリーニがクジラ館を見たらなんと言ったかしら?

詳細評価

物語
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