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カサブランカ (1942)

CASABLANCA

監督
マイケル・カーティス
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4.12 / 評価:715件

戦時中のサスペンス映画としても面白い

今回取り上げるのは1942年のアメリカ映画『カサブランカ』。アカデミー賞では作品賞、監督賞(マイケル・カーチス)、脚本賞の3部門で受賞している。日本では1946年に公開された。製作されたのは戦時中で、第二次世界大戦の帰趨は明らかではなかった。本作はもちろんアメリカを中心とする連合国側を応援する立場で描かれているが、ナチスドイツ側に立って歴史から消えていったプロパガンダ映画も数多く存在したに違いない。

ナチスの脅威がヨーロッパ大陸を席巻していた時代。自由を求めた人々はアメリカへの亡命を目指したが、その道のりは容易ではなかった。フランスから逃れた人々はいったん地中海を渡ってアルジェリアのオランへ行き、陸路でモロッコのカサブランカへ。ここで中立国ポルトガルのリスボン行きの飛行機があり、そこからニューヨークへの直行便に乗り換えるのだ。
カサブランカにたどり着いた人々にも、アメリカへの道が約束されたわけではない。当時のモロッコはフランスの植民地であり、さらにフランスはナチスドイツの占領下にあった。亡命のために出国ビザを手に入れようとする人々、彼らを利用してお金儲けに走る人々、逃亡者を捕えようとする体制側の人々など、様々な者たちの思惑が交錯する地であった。

ドイツ人が殺され、出国ビザが奪われるという事件が発生。犯人はカサブランカに潜伏しているという情報を得た警察署長のルノー(クロード・レインズ)は、事件を捜査するために到着したドイツ軍人シュトラッサー(コンラート・ファイト)を出迎え、事件解決に自信を示す。被支配者の立場ながら、卑屈になる事なくフランス警察の矜持を示すルノーがカッコいい。
主人公はカサブランカでバーを経営する37歳のリック(ハンフリー・ボガート)である。バーの中にはカジノがあり、リックは客の勝敗を調整する事で利益を上げているようだ。バーに出入りする客は上流階級らしく着飾っているが、出国ビザを得るためギャンブルに頼る者もいる。リックのバーは歴史の転換期におけるカサブランカという町の縮図でもあるのだ。

出国ビザを奪ったのはウガーテ(ピーター・ローレ)という小柄な男で、リックとは知り合いであった。リックはルノー署長とも旧知の仲であり、商売上犯罪者と権力者の両方と付き合いがある。ウガーテはフランスから脱出した反ナチスの運動家ラズロ(ポール・ヘンリード)と連絡を取っており、ビザを売る手はずであったが、彼と接触する前にリックの店で逮捕される。
ウガーテは捕まる直前にリックにビサを預けていた。逮捕劇で騒然となる店内を鎮めるため、リックはバンドに指示して陽気な曲を演奏させる。カサブランカの表と裏を知り尽くした男らしい振る舞いである。遅れて店に入って来たのがラズロ本人と、美しい妻イルザ(イングリッド・バーグマン)であった。ここからが映画史上最も有名なシーンとなる。

本作の基本はボギーとバーグマンのラブロマンスであるが、物語の背景に思いをはせるとより楽しめるだろう。恋人同士であったリックとイルザがパリの街でデートを楽しむ回想シーンは、ここに至る二人の過去と世界情勢を思うとより切なく感じる。この時点でフランスはナチスドイツの侵攻を受け、パリの陥落は目前に迫っていたのだ。
リックは第二次世界大戦の前にも、スペインやエチオピアで敗者の側に立って戦った(外人部隊に所属したのか?)経験があり、政治に興味ないと言いつつ熱い義侠心を持つ男だった。イルザはラズロの理想に共鳴して結婚したが、ラズロはチェコスロバキアで捕まり収容所で死んだと聞かされていた。パリはそんな傷心の二人を、優しく慰めてくれる町だったのだろう。

「世界中の町に星の数ほど店があるのに、彼女は俺の店にやって来た・・・」。イルザに裏切られた過去を封印し、手に入れたビザを自分のために使おうとするリックだったが・・・。イルザはリックとパリを逃げようとした直前にラズロの生存を知り、見捨てては行けなかった。リックに真相を話すと、反ナチスの活動家である夫のために迷惑をかけるので黙っているしかなかったのだ。
名セリフの多い映画であるが、僕が気に入ったのは空港で別れ際にリックがラズロに向かって言うセリフだ。「昨夜、イルザが私の所に来ましてね。出国ビザの件です。手に入れるために、まだ私を愛しているとまで言いました。でもそれはずっと昔の事です。あなたのためについた嘘ですよ」。このセリフを背中で聞きながら、イルザは涙を拭っている。

リックの中で忘れかけていた義侠心が蘇ったのだ。そのきっかけとなったのが、リックの店でラズロが「ラ・マルセイユーズ」を歌うよう促して、ドイツ軍人たちの歌を圧倒する場面(ラズロの不屈の抵抗心を表している)と、夫のために命を懸けるイルザの必死さにあったのだろう。彼の義侠心がルノー署長まで動かすラストシーンが清々しい。

詳細評価

物語
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音楽

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