作品レビュー(2件)
- gar********
4.0点
お金持ちの若者、ウィリー(ウィリ・フリッチュ)、クルト(オスカー・カールワイス)、ハンス(ハインツ・リューマン)の3人は大親友。いつも一緒である。ところがある日不況の影響で破産してしまう。無一文になった3人は、ガソリンスタンドを共同経営するようになった。そんな彼らの前に魅力的な女性リリアン(リリアン・ハーベイ)が現れて… 1930年代、トーキー映画の登場でそれまでは不可能だった映像表現が可能になりました。それは音楽映画というジャンルを確立させることになります。そんな時代の潮流をよくつかんでいたのが、「ハリウッド最大の商売敵」と言われたドイツ映画界でした。この作品は、稀にみる黄金時代を享受したドイツ映画が残した遺産の一つです。 ストーリーは、至って単純です。可愛い女の子と彼女を愛した3人の男のさや当てを描き、結末は容易に想像がつきます。ややもすると他愛のないメロドラマに終わりそうな作品です。しかし、この作品がこうしてDVDで鑑賞できるのは音楽の魅力とストーリーの底にある鋭敏な時代感覚です。 まずは音楽、映画の主題歌「友だち、良い友だちEin freund,ein guter freund」が持つ浮きたつようなマーチのリズムは、親しみやすさを兼ね備える「永遠の名曲」です。私は、この曲のCDをいつも車に載せていて、ことあるごとに聞いています。出勤前に歌いながら行くと、とてもリラックスできます。元気になりたい時には、特におすすめです。 そして特筆すべきは、「友だちはいつも友だち、たとえ世界が沈もうとも」という歌詞にあるような脚本力。この映画が製作された時代は、世界恐慌の真っただ中。ドイツ国民の3分の1以上が職を失い、差し押さえ(映画にも登場)が日常茶飯事だった時代です。そんな暗く、明日が見えない社会状況を音楽映画の楽しさの中に取り入れるという、非凡な脚本力はドイツ映画の面目躍如たるものがあります。この時代感覚の鋭さは、ハリウッド以上だと思います。 そんな作品を彩るのがキャスト。3人組のうちハインツ・リューマンは『狂乱のモンテカルロ』でも活躍しています。もう一人のオスカー・カールワイスは、ベルリンのレビューでも活躍した名エンターティナーで、1928年にはまだスターになる前のマレーネ・ディートリッヒと舞台でも共演しています。そして、ウィリ・フリッチュとリリアン・ハーベイ。この後『會議は踊る』という永遠の名作を送り出すことになる名コンビです。この二人の魅力を楽しめることも、この作品の魅力です。 稀にみる映画の黄金時代が生みだした楽しい作品。主題歌の魅力は、永遠不変です。
- bakeneko
5.0点
ネタバレ不況なんてへっちゃらさ!
このレビューにはネタバレが含まれています。
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