悲しみは空の彼方に
beautiful_japan_
5.0点
夫に先立たれたローラ・メレディス(ラナ・ターナー)が女優としての成功をつかむサクセスストーリーなのかな、と見ていると、黒人のアニー・ジョンソン(ファニタ・ムーア)と娘のサラ・ジェーン(スーザン・コーナー)が転がり込んでくる。貧しい人たちが身を寄せ合って懸命に生きていく物語なのかな、と思っていると後半は雰囲気ががらりと変わる。 黒人であることを嫌うサラは、父が白人のため肌の色が黒くないので白人を装う。母のアニーを毛嫌いし、キャバレーの踊り子になり、母から離れていく。本作が公開された1959年当時、アメリカ合衆国で深刻だった黒人差別がメインテーマだ。 黒人の血が半分入っていることを恥じるサラについて、アニーが“自分を恥じるのは罪です。自分を偽るのはもっと悪い”と語るセリフは名言だ。アニーの葬儀で、サラがアニーの棺にしがみつくシーンは切ない。 一方、スージーは母の恋人であるスティーヴ・アーチャー(ジョン・ギャヴィン)を好きになってしまう。娘に距離を置かれてしまう二人の母親(ローラとアニー)の物語でもある。 スージーの子役も16才役のサンドラ・ディーも演技がうまく魅力的。 問題作であり、名作だと思う。
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