ここから本文です

鞄を持った女 (1961)

LA RAGAZZA CON LA VALIGIA/GIRL WITH A SUITCASE

監督
ヴァレリオ・ズルリーニ
  • みたいムービー 14
  • みたログ 40

4.06 / 評価:18件

純愛

  • yad***** さん
  • 2009年11月1日 22時02分
  • 閲覧数 1226
  • 役立ち度 19
    • 総合評価
    • ★★★★★

『鞄を持った女』は僕にとっての、“とっておきの映画”です。。。
もうこの題名を思い出すだけで胸がキュンキュンする(苦笑)
十六歳の青年が年上の未亡人へ注ぐ純愛を描いた作品です。
その様子を、
決して“綺麗”“崇高”などと耽美的に奉っていない所が良い。
でもそこは叙情的で良心的で情感溢れる作風のズルリーニ監督・・・
結局は、とても綺麗で崇高な純愛ストーリーに仕上がっています。

そうなんです、プラトニックなんです、とても。
このアイーダという名の未亡人をC・カルディナーレが演じてますが、
この頃の彼女は野性的なエロティシズムの芳香を出しまくりの、
まさに全盛期だったのに、主演二人が手を繋ぐまで、
映画が始まってから1時間以上かかってます(笑)
キスしたのは終盤に差し掛かって、やっとです。
相手は16歳の青年だから、当然と言えば当然なんですが、
それでもこの2つのシーンは素晴らしい名場面です。

慈しむような笑顔だったアイーダは、青年から手を握られて、曇った表情へ一変させる。
そしてそっとその手をふりほどきます。。。
まだ世間知らずで純粋な彼の・・・その一途な想いを受け入れる訳にはいかないのです。
ぎこちなく、振り解いた自分の手のやり場に困る彼女・・・
ここはむしろ彼女の方が切ない気持ちだったろうと思うのです。
手を握るシーン・・・ラストでも描かれてます。
青年の戸惑いの手の動きはもう、あまりに切なすぎて胸が締め付けられます。
たった“手を握る”という些細な行為でさえ、こんなにも哀切に訴えかける
見事な演出手腕は、流石ズルリーニ監督です。

そしてこの作品で唯一とも言えるラブシーンは、珠玉の名場面です。
夕暮れの砂浜で、シルエットとなって重なる二人の唇。。。
モノクロ故の情緒って点も確かにあるけど、もしカラーだったらどんなに美しかったろうか・・・
と思うと残念でなりません。
ここのキスシーンは一応、名場面として知られていますけど、それよりも僕は、
二人抱きしめあった時のロレンツォ青年の、感極まった表情がとても印象的です。
ここに至るまでねぇ・・・色々あったのですよ・・・書ききれないから端折りましたが。

あっ、端折るには勿体無い素晴らしいシーンがもう一つあるので、サクッと紹介。
2階のバスルームからバスローブ姿で出てきたアイーダが階段を降りる時、
ロレンツォはオペラ『アイーダ』のアリア「清きアイーダ」のレコードをかけます。
笑顔で階段を降りてくる彼女を見上げる彼の表情は、とても幸せそうです。
一段降りるごと、彼女が青年へと近づいてくる、その距離は心の距離感でもあります。
観ているこっちも、胸がドキドキしました(笑)

柄にも無く甘々なレビューを書いてますが、このロマンスの顛末はねぇ・・・
ここの“あらすじ”に結末が書かれているから僕もばらしますけど・・・
本当に悲しくて切ない。。。

このラストのシークエンスは多くの事を物語ってます。
とにかく・・・切ないとしか言えないのですよ。。。
青年から大人へ成長する・・・その通過儀礼って切ない。
彼が良かれと思ってやったこの最後の行為・・・これって汚れた大人がやる事。。。
誠実で真っ直ぐな愛情を注がれ、本当の愛を知った彼女・・・
今までずっと自分の為に無理してくれた彼に、彼女が始めて彼の為に行なった事とは・・・(涙)


ここまで、一生懸命良い所だけを拾っての絶賛レビューをしましたが、
いざ鑑賞したら多分、退屈だと思います。。。
このレビュー冒頭で書いた“とっておきの映画”な理由はこれです。
胸がキュンキュンする感傷だって、結局は自分がこの作品と出逢った時の、
その当時の年齢やら生活状況といったタイミングが左右するんですよね。。。
だから人にはオススメできないけど、自分にとっては名作なのです。

因みに主題曲は名曲でして、大ヒットしました。こっちは万人受けすると思います♪

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • ロマンチック
  • 切ない
  • セクシー
  • かわいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ