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髪結いの亭主
2011年1月8日公開

髪結いの亭主

LE MARI DE LA COIFFEUSE

802011年1月8日公開

とみいじょん

3.0

バニラ風味の檸檬

死が、無彩色の墓場でもないのなら…。 ただ、”眠りから覚めない”ということなら、 そして、愛しき人の記憶に、「バニラ風味の檸檬」として残るのなら、 枯れて色の無くなる前に、永遠にあの人の中で生き続けられるのなら…。  いつも一人だったマチルド。職場の同僚には妬まれ、唯一庇護してくれた元雇用主も、去った。  そんなマチルドが経験した蜜月。  その蜜月を知った後の孤独は如何ばかりか。  愛してはくれていた家族はいたけれど、その世界観を理解してくれる人がいなかったアントワーヌ。マチルドに出会うまでは…。  蜜月が永遠に続くと思っていたのに…。 孤独、なんて言葉では埋まらないほどの空虚。 そんなアントワーヌとマチルドの物語。 相手が世界のすべて。 そんな蜜月を、基本、理容室のみで描く。 その濃厚な世界を描きつつ、挟み込まれるエピソード。なぜ、ここでこんなエピソード? 彼らとの対比で、二人の世界観がそれとわからぬほどに影響を受け、けれども揺るがぬ二人の関係…。 と、思ったら突然の展開…。 愛とは何ぞや。 人生とは何ぞや。 そんなイシューを突き付けられ。忘れえぬ映画となる。 そんな強烈な映画なのに、ファンタジーのような不思議な世界観。 ロマンチックと、主人公の不思議な魅力、ヒロインの美しさに酔ってしまう。 ロシュホール氏とガリエナさん。代替えが効かぬ、この方ありきの映画。  アントワーヌの、大人の姿をした子どもぶり、それでいて理髪店のオーナーぶりを、あの奇妙なダンスを含めて、演じてくださる。その性格・行動に戸惑いながらも、目が離せない。  マチルドの可憐ではかなげで、幸薄そうでいながらの幸せ感。色気。こちらも目が釘付けになる。 物語はシンプル。 だが、二人の言動、挟み込まれるエピソードのことを考えると、観るたびに違う解釈になる。  そのわけのわからなさにリピートしてしまうが、そのわけのわからなさに評価は低くなる。

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