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華麗なるミュージカル

華麗なるミュージカル

THE GOLDWYN FOLLIES

115

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4.0

ネタバレごった煮風の演芸大会

映画プロデューサーのオリヴァー(アドルフ・マンジュー)は、陳腐な演出や演技ばかりで観客の心を掴むような作品がつくれずにいたところ、とある映画のロケ中に、撮影している様子を見物していた若い女性ヘイゼル(アンドレア・リーズ)が辛口の批評をしているのを見かけます。 オリヴァーは、彼女に一般人の感覚で映画づくりのアドバイスをしてもらおうと考えて、『ミス・ヒューマニティー(人間性)』という肩書きをつけて秘かに雇い入れ、以下、ヘイゼルの助言に従って、映画に取り入れる様々な演目が決まっていく様子が描かれていきます。 ・・・という一応の軸はあるものの、それほどきっちりとしたストーリーがあるわけではなく、バレエあり、オペラあり、歌あり、お笑いあり、腹話術ありといった取りとめのない構成で、その当時話題のエンターテイナーを起用してバラエティーショー的にいろいろ入れ込んでみましたといった感じの内容になっています。 ヘイゼルの恋のお相手には、歌手のケニー・ベイカーがダイナーでコックをしている若者の役で出てきます。 曲のヒットを狙ってか”Love Walked In(歩み入る恋)”を繰り返し歌っていますが、これと”Love Is Here to Stay(わが恋はここに)”他数曲を作曲しているのがジョージ・ガーシュウィンで、本作の製作中にガーシュウィンは病に倒れて亡くなっています。 ガーシュウィンの伝記映画「アメリカ交響楽」では、終盤で本作の”Love Walked In”を演奏している最中に苦しんで倒れる様子が描かれていて、これは悲壮感漂うシーンでしたが、亡くなる間際まで心血を注いでいたのが本作の曲なのかと思うと、何だか複雑な気分になりますね。 腹話術師として有名なエドガー・バーゲン(女優キャンディス・バーゲンの父)とその相方の人形チャーリー・マッカーシーも登場して話芸を披露してくれます。とにかく毒舌でシニカルなコメントを連発するチャーリーにバーゲンがフォローを入れるというかたちで、言いたいことを全部チャーリーに言わせて涼しい顔をしているバーゲンを見ているとなかなか面白いです。 ちなみに、バーゲンが操る人形にはモーティマー・スナードというチャーリーとは正反対の覇気がなくいつもボケーッとしているキャラクターもいるんですけど、本作には登場していません。 「忘れがたみ」というマンジュー、リーズ、バーゲンが再共演している作品には登場しているのですが、馴染み深いところでは、「子ぐま物語(ファン・アンド・ファンシー・フリー)」の後半で、バーゲンが幼いルアナ・パットンに「ミッキーと豆の木」のお話を聞かせてあげるくだりがあり、チャーリーとモーティマーが出てきて、随所でバーゲンの話の腰を折るような茶々を入れていたのを楽しく観た思い出があります。 三人組のリッツ・ブラザースも登場。単純に1×3=3のパワーで押してきてその場を引っ掻き回すウザい系のお笑いで、好き嫌いがはっきり分かれそうなタイプの芸風です。 彼らのシーンでは、オーディションの場面に突然現れてオリヴァーに絡み、”Here, Pussy Pussy”を歌うと、そのうち猫がうじゃうじゃ入ってきてカオスになるというナンバーが一番楽しめました。 このオーディション場面では、無名時代のアラン・ラッドも見ることができます。 オペラ歌手ヘレン・ジェプスンが『椿姫』の”乾杯の歌”を歌ったり(これをマンジューが観劇しているのを見ると「オーケストラの少女」を連想してしまいます)、バレリーナのヴェラ・ゾリーナが『水の妖精』をモチーフにしたバレエを披露したりするあたりは、ちょっと芸術的な雰囲気。 また、『ロミオとジュリエット』を題材にして、両家が対立している様子をそれぞれクラシックバレエとジャズダンズのスタイルで見せるというシリー・シンフォニーの「音楽の国」の実写版みたいな演目もありますが、クラシックvsジャズで見せるのは、他にもミッチェル・ライゼン監督の「絢爛たる殺人」のショウ場面や短編「アメリカーナの少女」でも使われていた趣向なので、それほど新鮮味は感じられません。 傍役で雇われたフィル・ベイカーが次々と役柄を変えられて閉口するといったあたりは、定番のシチュエーションながら楽しめます。 終盤で、オリヴァーがヘイゼルにご執心となりパワハラの上司みたいになってしまうのはちょっといただけないのですが、最後は取ってつけたように丸く収まるのがご愛嬌といった感じでした。

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