河と死
作品レビュー(1件)
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4.0点
ふとしたことから殺しあうようになってしまった二つの家。その二つの家に生まれた男二人が最後に和解し、争いを見守ってきた河に一筋の光がきらめくラストシーンは確かに感動的です。分裂したものが一つになる幸福な光。 ところが、起源の殺人、親の代の殺人、現代、と三世代にわたる歴史のなかで、どうにもわからないのは、登場人物はまるで町の「掟」に操られているかのように、いともたやすく殺しあうということです。この人たちには内面がない。そして、その意味では和解さえいともたやすく成り立つ。実際、親の代では、一度成り立った和解は壊れて再び憎しみあうのであり、ラストシーンの和解がどこまで続くのかはあらかじめ保証されないことになっています。 そのように操られる人々を描きながら、すばらしいのは、別の文脈からそのアヤツリが利用されている姿が描かれていることです。起源の殺人では嫉妬だったものが、親の代の殺人には経済的利害と兄弟の愛憎が、現代では知識階級と労働者の対立が、アヤツリを活性化している。ということでルイス・ブニュエル万歳。
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