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カンサス騎兵隊 (1940)

SANTA FE TRAIL

監督
マイケル・カーティス
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3.67 / 評価:6件

Final answer?

  • bakeneko さん
  • 2013年4月18日 11時41分
  • 閲覧数 341
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

カンサスを中心とした周囲の州や領域の治安維持にあたる騎兵隊に任命された主人公&親友&ヒロインの冒険と恋を描いた-いつもの主人公:エロール・フリン&ヒロイン:オリビア・デハビランド&マイケル・カーチス監督の娯楽作で、主人公の親友役として後のアメリカ大統領:ロナルド・レーガンも出演していますが、南北戦争の機運が急を告げていた1959年に起こった“ハーパーズ・フェリー襲撃事件”をクライマックスに据えて歴史的に複雑な事件も描いた、娯楽重視のトリオシリーズでは異色の作品となっています。

南北戦争の遠因となり、奴隷解放運動の嚆矢となるゲリラ&テロ活動を行なった:ジョン・ブラウンを敵役に持ってきた南北戦争前夜譚ですが、南部(=奴隷制を正当と考える)視点で描かれていることに驚かされる作品で、奴隷逃亡を助勢したり、奴隷を迫害する人種差別論者を攻撃する人物を狂信的なテロリストとして解釈しています。
白人に道を譲らない&白人娘と結婚しようとする黒人を正義のKKK団がやっつける場面を勧善懲悪のクライマックスにした-「国民の創生」(1915年)に見られるように、1960年代に公民権運動の高まりで人種差別が不合理だと認識されるまで、特に南部を中心とした諸州では人種差別が公然と罷り通っていました。
本作も、奴隷解放運動家をテロリストとして社会秩序を乱す敵として描いている点が1940年代のアメリカの考え方を象徴していて、黒人を“白人が導いてやらないと一人立ち出来ない木偶の坊”として登場させるシーンなどには唖然とさせられます(「ジャンゴ」のドクターシュルツがいたら本映画製作者は即射殺されていますな)。
奴隷制を正当とする-南部諸州、人間として自由を認める-北部&東部州、中間的立場の西部州&開拓領域という-3つの体制があり、黒人を南部から北部へと逃がす組織があったなどの“アメリカの暗部”も興味深く描かれていますし、“将来は解放してやってもいいけれど、今は上手くいっているんだから当面は…”という奴隷制に対する緩い&自己中な考え方の本音も聞くことが出来ます。
物語は、一応主人公達が勝利する活劇を見せながらも、敵役の最期まで毅然とした態度に南北戦争の嵐の暗雲が忍び寄ってきていることを予感させる締めくくりで、この問題に対するアメリカの複雑な思いを提示しています。

観ていてどうしても、歴史的事件や人種的観点に考えが飛んで行ってしまう作品ですが、エロール・フリンは相変わらず能天気爽やかですし、オリビア・デハビランドが南北戦争の頃の服装をすると「風と共に去りぬ」の大人しいメラニーを連想しがちですが、本作では快活なお転婆娘を生き生きと魅せて、固定観念を吹き飛ばしてくれます。

主人公の活劇を楽しみながら、日本ではあまり知られていない“南北戦争前夜”の奴隷解放運動とアメリカの分裂状況を勉強しつつ、1940年代のアメリカの思考と現在を比較できる作品であります。


ねたばれ?
1、同じ“奴隷解放主義者”でもリンカーンの主張はより現実&政治的なもので、ジョン・ブラウンとは一線を画していました(ブラウンのことを「見当違いの狂信者」と言っています)。
2、ヴィクトル・ユーゴーは、逮捕後のジョン・ブラウンに対するアメリカ政府の恩赦を得ようと試み、公開の手紙を送っています。

詳細評価

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