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狼たちの街 (1996)

MULHOLLAND FALLS

監督
リー・タマホリ
  • みたいムービー 6
  • みたログ 160

2.93 / 評価:58件

ハードボイルドの佳作ぽい駄作。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2011年4月8日 12時00分
  • 閲覧数 507
  • 役立ち度 12
    • 総合評価
    • ★★★★★

 福島第1原発事故に影響されているのか? 関西ローカルTV局晩の映画枠で放送された。時代は朝鮮戦争時のロス・アンジェルス。30年代シカゴのギャング物と違って、原爆実験や米軍などが絡んで少し話がややこしい。
 現代のサラリーマンはあまり着ないスリーピースの背広にダブルカフスのワイシャツ、頭には中折れハット。一見すると30年代アンタッチャブルに近いファッションの中に現れるゴム製の動き難そうな放射能防護服姿の兵士たち。なんだか小学生の頃に読んだSF小説の挿絵みたいな風景だ。(余談1)
 
 さて、この映画を観た動機はただ1つ、お気に入りのジェニファ・コネリー氏が出演していたからだ。当時は清純派から脱却を図っていた頃で、積極的に脱ぎや絡みの演技をやっていた。本作でも惜しげなくスレンダーな身体に不釣合いな豊満バストを魅せてくれる。
 主人公はロス市警の署長直属特捜班リーダーのフーバー警部補、たった4人の刑事で容疑者たちを殴る蹴る、挙句に殺す、法を無視してギャング以上の無茶苦茶な活躍ぶり。そんなフーバーたちが国家機密である原子力をめぐる陰謀に巻き込まれて血沸き踊るアクション活劇が展開される。
 
 一場面一場面を切り取って観れば、どれも良質なハードボイルドだ。街並みや衣装や路肩駐車されている無数のクラシックな自動車など、50年前後のアメリカを再現している。(余談2)
 迫力ある銃撃戦、殴る蹴るの格闘、飛行する軍用機内での乱闘、ジェニファとの浮気の濡れ場、右腕のクーリッジ刑事との友情、妻ケイの泣き顔。一場面単体で観れば見どころ満載だ。
 特に気に入ったのは、ギャングに対しては強面の厳つい暴力刑事のフーバーが、妻に浮気がばれて頭を抱える場面が素敵だ。目を真っ赤にした妻ケイがビンタしようとして手を出しかけて躊躇したとき、顔をビクッとさせるフーバーの顔が素晴らしい。身構えるというより、恐れおののくといった感じだ。
 犯罪の黒幕と最後の戦いをする時に真顔で放った台詞が「妻に浮気がばれた。もう怖いモノはない」だから面白い。渋いハードボイルド作品だったのではないのか。
 
 残念な事に、作品全体を眺めると構成が中途半端で無理な設定だらけだ。DVDパッケージでは特捜班4人がカッコ良く横一列に並んでいるが、主人公と右腕以外は「その他大勢」扱いでこなれていない。煙草を吹かして夜の女のように映っているケイは普通の主婦、実際はジェニファ・コネリー氏がヒロイン的立場。
 暴力場面も唐突・安直、石原プロの「大都会」や「西部警察」よりも短兵急、米軍や原爆との絡みも貼り付け感がある。

 いやまてよ。石原裕次郎氏が出演していた刑事ドラマを大掛かり2時間バージョンにしたと思えば納得できる。子供の頃に慣れ親しんだ刑事モノとベースが同じだから、構成が駄作にも関わらず不快感が無かったのだ。
 
(余談1)1930年代の服装も50年代の服装も基本はあまり変わっていない。激変するのは60年代後半からだというのが判る。
 
(余談2)作中の特捜班ハット・スクワッドは、実在した組織らしい。映画のような無法の暴力集団かどうかは判らないが。
 
 時代考証は手抜きが無かったように思う。路肩に何台も自動車が駐車されているが、当時の型の車ばかりだ。軍服や放射能防護服、実際の原爆実験に撮影された写真など。
 特に軍の立ち入り禁止区域で確保されホールドアップしている時に、指揮官から身分証を求められて手を下ろして上着の内ポケットから取り出すのは牧歌的なあの時代ならでは。よくやる間違いは現在の風習をやってしまう事だが、それは無かったように思う。
 

詳細評価

物語
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