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庭の千草 (1939)

THREE SMART GIRLS GROW UP

監督
ヘンリー・コスター
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4.00 / 評価:2件

コスター監督の細やかな演出に魅せられる

  • rup***** さん
  • 2014年12月21日 23時04分
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    • 総合評価
    • ★★★★★

「天使の花園」から3年が経ち、再びジョーン、ケイ、ペニーの3姉妹の物語が語られることになります。今回、次女のケイは、前作のバーバラ・リードからヘレン・パリッシュへと交代しています。「アヴェ・マリア」ではダービンに何かと意地悪をする寄宿学校の女生徒、「銀の靴」でもダービンに辛く当たるワガママないとこと、ダービンにとってはライバル的存在として記憶に残るパリッシュですが、本作でのケイの役にも見事にはまっていて、全く違和感がありません。

また、前作よりも3姉妹のやり取りがさらに自然になっていて、冒頭のタイトルクレジットと重なって3人でパーティーでの振る舞いについてあれやこれやと言い合うシーンや、寝室に戻ってジョーンの婚約についてわいわい語り合うシーンなんかは、本当の姉妹かと思うような空気感が見事に醸し出されています。ペニー(マウスって愛称で呼ばれてるのが可愛い)がケイにヘアーキャップを髪の毛ごと引っ張られて文句を言ってみたり枕を投げてじゃれ合ったりととにかく楽しい雰囲気に満ちています。

ダービンも今やユニヴァーサルの看板スターとなっているので、本作では三女ペニーを演ずるダービンが全面的に活躍していて、今回、ペニーはケイが秘かに思いを寄せていた青年リチャードが長女ジョーンと婚約してしまい心を痛めているのに同情し、ケイに新しい恋人を見つけてあげようと大奮闘することになります。

ペニーが白羽の矢を立てたのは、同じ音楽学校に通うハリーという青年ですが、ハリーを演じているのはロバート・カミングスで、ダービンとは「青きダニューブの夢」と「It Started with Eve」でも共演しており、ちょっととぼけた感じの2枚目半の軽い雰囲気がダービンの相手役としてはピッタリです。個人的には彼がダービンのベストパートナーではないかと思っています。

家に招いたハリーがケイではなくジョーンの方に惹かれてしまうという手違いが起きたり、ペニーがそれに腹を立ててハリーに当たり散らしたことから、家族からペニー自身がハリーに熱を上げているのではないかと誤解されたりと、事が次第にややこしくなっていく展開がとても面白くつくられています。ペニーが行動を起こすたびに真意とは違ったように受け止められてしまい、ついには肝心のケイとも仲たがいしてしまうという最悪な事態に陥るわけですが、とにかくペニーが自分の知恵で何とか問題を解決しようとする行動力は「オーケストラの少女」のパッツィにも匹敵するほどです。それも職にあぶれた大勢の楽士たちの仕事の問題というような大きな話ではなく、家庭内の日常的な範囲で起こりうる事柄なので彼女の行動にも一層親しみが感じられ、楽しく観ていられます。

いよいよ切羽詰ったと感じたペニーは、仕事が忙しく家族のことはまるで上の空の父ジャドソン(チャールズ・ウィニンジャー)に助けを求めに行くことになるのですが、ここでは父親が仕事にかまけて家族のことを気に掛ける暇がなくほったらかしにした結果、子供たちの思いに気づかずにいることが生み出す不幸という問題が提起されています。これと同じようなテーマは、製作者ジョー・パスターナックが後に手掛ける「銀の靴」や「スイングの少女」でも語られていますが、本作では泣き崩れるペニーの姿を見てジャドソンがようやく父親としての顔を取り戻すシーンがたいへん印象的で、これがラストの何ともトリッキーでありながらそれでいてとても感動的な結婚式のシーンへつながっていきます。

本作は、ヘンリー・コスター監督の演出がとにかく素晴らしいです。ダービンが歌う場面や曲の演奏が行われるシーンでもただ歌ったり演奏したりしているのではなく、その最中にもドラマが進行するよう細やかな工夫が凝らされていて、サイレント映画のような演出がみられるのも印象的です。

ペニーが"Invitation to the Dance"の曲に乗せて歌を歌っている間には、ジョーンとリチャードがその場を抜け出して、2人の楽しげに語る様子が台詞なしで映し出され、歌が終わると2人の婚約が発表されることになりますし、ペニーがハリーをディナーに誘う際には、指揮者に睨まれながらも歌っている最中にハリーの耳元でどんなメニューがいいかと囁くコミカルなシーンがあります。

また、ハリーがペニーの屋敷でピアノを披露するときも、演奏中にペニーがケイの手を取りピアノの前に引っ張っていきハリーの気を惹こうとするのですが、ハリーが奥に座っているジョーンを目に留めて微笑むと、ペニーが気づかぬうちに、あっという間にジョーンがピアノの前へ行きハリーと見つめ合うことになるという心の動きが台詞なしで見事に表現されます。

そして、ラストシーンでは、ペニーが"Because"を歌うなか、帽子とコートという小道具を活かした直接映像には表れないドラマが語られるという粋な演出に魅了されるのです。

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