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人類の戦士

人類の戦士

ARROWSMITH

99

bakeneko

5.0

ネタバレ抗生物質が無かった頃の防疫は…

アメリカのジャーナリスト:ハリー・シンクレア・ルイスが1926年に発表した『アロウスミスの生涯』をジョン・フォードが映画化したもので、ペストが猖獗を極めていた100年前に医学の研究に献身したアメリカ人医師とその妻の奮闘を描いています。 「科学者ベル」、「キュリー夫人」などの科学者伝記ものの先駆となった作品で、 医学によって人類に貢献しようと志した孤児のマーチン・アロウスミス(ロナルド・コールマン)が、医師となりサウスダコタの牛の疫病を防いだことから、NYの疫学研究所を経て、西インド諸島のペストを抑えるべく現地に渡り、最愛の妻(ヘレン・ヘイズ)を失い、疫学データを犠牲にしながら病気を終結させ、次の研究に邁進するまでを、夫婦愛と科学者としての使命感を入り混ぜて描いてゆきます。 「アイアンホース」等と同様に、使命感と夢に突き進む純粋な主人公を活写したアメリカ映画で、コッホやパスツールによる細菌学と血清療法が疫学研究の最先端だった時代のペストを始めとした疫学の脅威も描かれていて、たった100年前でも抗生物質の無い世界は病気の大流行が頻発していたことが分かります。 ブレイク前だけど抜群に美しいマーナ・ロイ(25歳)や、後にフォード映画の常連になる駆け出し時代のワード・ボンドの顔も見ることができる作品で、アメリカ人から見たスウエーデン人の描写も興味深いですよ! ねたばれ? 1、血清の効果を見る場合、血清を打った患者と打たない患者を比較するのではなくて、血清を打った患者と血清抜きの同じ成分を注射した患者とを比べなければいけません(あと、いくら対照実験でも半数も無処理のネガコンを取る必要はありません)。 2、あの程度の顕微鏡ではペスト菌(大きさ1μm)の同定はできないと思う。 3、それまで“ヴァンプ”タイプの誘惑的な役が多かったマーナ・ロイは本作の主人公を優しく見守る役で印象転換に成功しました(でも原作では彼女が演じた女性は、妻を失った主人公の後妻になるのですけど…)。

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