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乙女よ嘆くな (1935)

ALICE ADAMS

監督
ジョージ・スティーヴンス
  • みたいムービー 1
  • みたログ 4

3.00 / 評価:2件

等身大のしあわせ

  • rup***** さん
  • 2017年11月12日 23時25分
  • 閲覧数 171
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

名匠ジョージ・スティーヴンスの初期の監督作品で、主演は若き日のキャサリン・ヘプバーン。

冒頭のシーンから、格安店から出てきたヒロインのアリス(キャサリン・ヘプバーン)がすぐさま隣の高級店の前へと移動しその店で買い物をしたかのように振る舞ったり、上流階級のパーティーに出席するためのコサージュを作ろうと一旦花屋に入るものの、お金がないので適当な言い訳をして買わずに店を出て公園に生えているスミレを摘んで帰ったりと、労働者階級の裕福ではない家庭に育ったアリスが、上流社会に憧れを持ち精一杯の背伸びをしているさまが見て取れるようになっています。

パーティー会場でも、アリスがその場に溶け込もうと懸命に振る舞い、傍目には痛々しくも見えてしまう姿を、スティーヴンス監督は丁寧な描写を積み重ねて描き出していて、この場面も初期の頃から流石の演出力といった感じがします。

さらに、本作の白眉とも言えるのは、アリスがパーティーで知り合って恋愛関係になった上流階級の青年アーサー(フレッド・マクマレイ)をディナーに招くシークエンスです。
暑い日の夜であるにもかかわらず、熱々のスープからドロドロに溶けたアイスクリームに至るまでのフルコースという『とことん上流にこだわる』メニューで押し通してその料理と格闘する一同の様子を映し出し、これまたじっくりと腰を落ち着けた演出によって惨憺たる夕食会の一部始終が描き出されています。
ハティ・マクダニエルが演じているメイドが普段付け慣れていないエプロン姿で現れて、無愛想に給仕をする姿や頭に付けたカチューシャが何度もズレ落ちる様子を挟み込み、みじめな状況を際立たせつつもコミカルな味を加える効果も見事。

アリス役のキャサリン・ヘプバーンの演技力の確かさは言わずもがなですが、ここでは年頃の娘らしい柔らかい雰囲気が印象に残ります。
そして、本作では、アーサー役のマクマレイもまた素晴らしいのです。スティーヴンス監督の演出の力も大きいのでしょうね。
周囲でアリスの悪口を言っていても黙して語らず、酷い料理が出てきてもただ黙々と食べ続けるその姿には思わず感動してしまいます。
マクマレイは、そんなに細やかな演技をするような人ではないですが、愛を歯の浮くような言葉で語るのではなく一貫した動じない態度で示すというその朴訥とした男らしさにぐっと惹きつけられました。

アリスの母親(アン・シューメイカー)はより高給を稼げる仕事に就くよう夫(フレッド・ストーン)をけしかけるような上昇志向の強い支配的な気性の人で、おとなしい性格のアリスの父親は肩身の狭い思いをしています。
長年勤めてきた会社で開発した接着剤の製法を使って事業を始めるよう発破をかけ、恩のある社長を裏切ることになると思いつつも妻の意見を尊重して工場を立ち上げることとなりますが、アリスの兄(フランク・アルバートソン)が会社の金を横領する事件まで起こり、腹に据えかねた社長がついに家へやってきて・・・。

ラストは、急転直下といった感じで当時のハリウッド映画らしい甘さをもって締めくくられていますが、人情の機微が感じられて気分良く観終わることのできる作品でした。

詳細評価

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