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太陽と月に背いて

太陽と月に背いて

TOTAL ECLIPSE

112

ya2********

5.0

ネタバレ美少年レオで眼福したけりゃ高くつくぜよ。

日本盤DVDには1万以上のプレミアムプライスがついてしまいっていますが、 これはもう、アニエスカ ホランド監督に ありがとうございましたと感謝すべき作品だ。 ディカプリオの、恐らく役者としても 男性としても 最も美しく勢いを持ち 輝きを放っていたひとときを、ここにのこしてくれていたのだから。 全体的に ボンヤリとセピア染みた 哀愁漂う質感の中で アブサンの鮮やかなミントブルーと、レオの透き通るような白い肌と金髪だけが やたら美しく映えている。 同性愛に基づいたストーリーということで 未だにあまりメジャーでない感は非常に残念だ。 これは間違いなく宝物。 少年が青年になる丁度その時の 絶妙な色気と 脅威的な美しさ真っ只中の実力派俳優を抜擢したことがまず 大正解だろう。 タイタニックなど、映画自体が独り歩きしてしまって 大スター俳優と確定付けられる前の彼の存在感は目を見張るものがある。 映画自体がいわゆる世界的大ヒット作のようなものとは違い、 ギルバートグレイプ等同様 彼自身の個性と1人の俳優としての存在感、彼こそがその映画を確定付けていた頃のレオは、純粋に物凄い天才だと感じざるを得ないのだ。 そしてこの作品もやはり、彼があの時の彼であったからこそ、この太陽と月に背いて、たらしめた 偉大な作品なのである。 ランボーがまるで、画面のそこにいるかのように錯覚してしまう。 個人的には 同性愛に対しての偏見など毛頭無い。 偏見たるや、なんと己の世界を狭めることか。 子供の頃から美しい男が好きだった私に、 中学生の時、クラスメイトが これを観てほしいと持ってきたのが、この映画だった。 初めて観たときは、まだ少女だったせいか 見てはいけないものを見ているようで 終始ドキドキしていた。 こんなにも美しく、眩しいほどにイノセントな裸体を惜しげも無く序盤で披露している彼に対してなのか 同性愛ということに対してなのか、 もう覚えていないが、大人になった今よりも、 もっと純粋にこのストーリーに入り込んでしまっていたのは確かだ。 なぜならあの時は、最後のシーンで大泣きしたのだ。 同性愛だからどうこうではなく 純粋に、愛し合う者同士の悲恋の残酷な結末が 哀しかったからだ。 ところが今回、切望してこの映画をふたたび観てみたところ 何故か初めて観たときのように 流れる涙にはならなかった。 もちろん、掌を刺さずにキスをしたあのシーンは グッとくるのだが。 今回は兎に角、ディカプリオの美しさに魅了され過ぎた。 何と言ってもそれに尽きる。 ストーリーへの感動は中学生のときに経験したせいか、 今回はこのひとりの俳優の、ピュアな演技力と その輝く美しさに釘付けになった。 日向臭い田舎の少年が、戦争や貧しさ故 心に影を堕とし始め、 鬼神に取り憑かれたようにエキセントリックな詩を認めるようになり、 粗野で傲慢、強気な武装で固めていく様は、世界のあらゆる悪や闇に染まるには あまりにも心が純粋過ぎて、 その詩で自分を守る盾を創ろうとした結果なのでは と思えてしまう。 そんな 危うく脆い繊細な詩人を、彼はまるでその人のように演じ切った。 彼でなければ成しえなかったであろう まさに奇跡の配役。 ヴェルレーヌに、僕を愛してるか?と問うたときの あの恐ろしく冷酷な目付きよ。 一瞬にして相手を凍てつかせるようなあの目をした彼の、なんと美しいことか。 ゾッとするほど恐ろしく冷たいのに、その内なる心は本当は彼の愛を切望し、熱く燃えていることすら表現しきっていた。 そんな鬼気迫る表情をしたかと思えば、 無邪気な少年らしい笑顔を見せたり、 遠くを見詰める大人の顔をしたり、 去るヴェルレーヌに 泣いて哀願する表情などは、 今にも壊れそうな幼い少女のようで身につまされるのである。 なんたる俳優。 レオが好きな人は 同性愛というテーマに怖気付かず、是非ともこの作品をこそ観てほしい。 彼のこのときの美しさは、この世のものとは思えぬほどに なんともいえない輝きと色気と凄みがある。 最初にヴェルレーヌ家を訪れた時の女優2人との対比で それは女優にとっては哀しいほどに… この女2人よりもなお、 彼は光り輝き、絶妙に色っぽいのだ。 それは 老若男女問わず、レオ演じるこのランボー少年を、何としても欲しいと感じてしまう程の魅力。 メロメロだったという、ヴェルレーヌの気持ちが痛いほどわかる。 果たしてランボーは、実際ヴェルレーヌを愛したのか、 それは彼の詩集、地獄の季節のなかの、 「こうしておれは、1匹の豚を愛したのだ。」 という言葉から容易に計り知れる。 ランボーにとって、ヴェルレーヌは天使であり、豚であった。 美少年とハゲおじさんの、スリルなSM劇にも納得の言葉だ。

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