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戦火の勇気 (1996)

COURAGE UNDER FIRE

監督
エドワード・ズウィック
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  • みたログ 2,440

3.54 / 評価:498件

決して語られない戦場にある「不」名誉の死

  • yutaku さん
  • 2016年7月12日 16時21分
  • 閲覧数 2073
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

冒頭で主人公デンゼルがミスを犯す。戦車乗りの彼は、戦場で味方を砲撃して仲間を殺してしまう。状況的に仕方のないミスでしたが、本人はその重い十字架を背負い、それでも軍のなかで出世していく。序盤、このデンゼルの十字架のストーリーがかなりしっかり描かれます。そして、そのあと本題が始まるのですが、ここがわかりにくい。観ているほうは、ここまでが序章だとは気づきません。この先も十字架をテーマに話が進んでいくように思えるので、ストーリー上の迷子になるのです。
この作品の本来のテーマは、戦場にある「不名誉な死」です。どんな兵士も、窮地に追い込まれると弱虫になる。みんな死にたくない。撤退したい。それを諌めるのが上官なのでしょうが、その上官が負傷していたり、死亡していたり、女性であったりすれば、力が弱いためにイザコザを鎮められない。結果、撤退を主張するものと、戦いを主張するもので小競り合いが起き、それが殺し合いに発展することもある。撤退しないと死ぬ、と思っている兵士たちの必死の抵抗ですから、銃を手にしている以上、戦場の真っただ中で引き金が引かれるのもありうることです。戦場には、そうした死がいくつもある。しかし、そうした死の真相が明らかにされることはありません。仲間を殺したことで撤退が叶った人たちは、口をつぐみます。なぜなら、自分の犯した行為が殺人だと知っているからです。
この作品は、そうした「不名誉な死」を明らかにしようとする無粋な軍人の生き様を描いたものでした。こんな無粋なことをするのは、デンゼル自身が仲間を死なせた指揮官だからです。冒頭のシーンはその意味で重要になるのでしょう。でも、デンゼルが犯したのは殺人ではない。そこに大きなズレがある。そのズレを無視したまま、「仲間殺し」という共通項で作品を組み立てていくから、観客は迷子になるのです。観客には共通項が見えず、ストーリーをつかめません。話がどこに向かっているのかわからなくなります。すべては、作り手が、似て非なるものを強引にくくったせいででしょう。すっきりしない作品でした。
でも、戦場で起こる死は「名誉の死」ばかりではない、というのはリアルなテーマでした。そこにあえて光を当てたことはとても興味深かったです。
なお、若き日のひょろひょろのマッド・デイモンが登場するのもちょっと興味深かったです。

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