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ファーゴ

ファーゴ

FARGO

R15+98

ポンコツ

4.0

ネタバレ実は。

物語の梗概は敢えて後述。 早々にネタバレをすると、この物語はフィクションである。 冒頭で「事実を元にした」とあるけれど、エンドロールの最後で「この物語はフィクションです」という旨が入る。 作中でも、それとなく示唆している。 1つは唐突に入る日系人の旧友との再会。 後に他の友人との電話で彼の語るエピソードが嘘(と言うか妄想)だと判る。 もう1つはポール・バニヤン。 舞台となる町がポールの生誕地ということで、入口に巨大な像が建つ。 分からないので調べたが、アメリカの地形を作ったという伝説のある、日本だとダイダラボッチの様な木こりの巨人。 転じて、ほら話の象徴。 序盤のモーテル「ブルーオックス」もポール・バニヤンの連れた巨大な青い雄牛に因む。 で、肝心の物語はと言うと。 緩急の上手い作品という印象。 この物語のキーマンは2人。 偽装誘拐を計画したサル顔の営業部長。 実行犯である変な顔の多弁なチンピラ。 前者はワンマンで傲慢な義父に頭が上がらず。 後者は寡黙で非情な相棒に主導権を握られて。 そして共に杜撰で、不満が爆発寸前。 その杜撰さが全てを狂わせた。 言えない借金。適当な仕事ぶり。捕らぬ狸の投資計画は取り上げられ。そして濡れ手で粟を狙ったはずの偽装誘拐はナンバープレートという小さな綻びから血が流れ、結局はチンピラを含めて7人もの死者を出す大事件に。 その割りに重くなり過ぎないのは、臨月の警察署長と夫のエピソードと、いかにも田舎町らしい人々の気の抜けた調子の会話を交えて描いているからかと。 引きの画を多用しているのも上手い。 雪景色の使い方も映えていて上手い。 ジャケ写の死体とか木材粉砕機とか。 演者も上手い。 警察署長役のフランシス・マクドーマンドがこの手の話にありがちなタフな女性でないのも良い。 変な顔ブシェミは安定の上手さ。 夫の小さな成功を喜び、これから生まれてくる子供を思って幸せを共に噛みしめるラストシーンも良い。 3セント切手でもスゴいよ。 ただ、首を傾げる点が。 レビュー冒頭でも触れたが、この物語はフィクションである。 それを隠す必要はあったのか。 と言うか、実話ベースの物語だと銘打つ必要は無かったのでは。 その意図が大いに疑問。 あと、これは配給会社への疑問だが、最後のネタバレに字幕をつけるべきだったのでは。 ポール・バニヤンとミネソタ訛り(原語はそうらしい)が日本人に伝わりにくいのは仕方ない部分なので減点に至らず。 という訳で。 偽装誘拐だったはずの杜撰な計画が徐々に狂い出す様を描いた。 あるいは強者に翻弄された杜撰な2人の小物が破滅するまでの。 実は実話ではない物語。 その演出で減点して星4つ。 その演出が無ければ星5つだった。 でも、個人的にはオススメ。 但し、フィクションだと念頭において鑑賞を。

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