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機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

НЕОКОЧЕННАЯ ПЬЕСА ДЛЯ МЕХАНИЧЕСКОТО ПИАНИНО/NEOKONCHENNAYA PYESA DLYA MEKHANICHESKOGO PIANINO/UNFINISHED PIECE FOR MECHANICAL PIANO/AN UNFINISHED PIECE FOR A PLAYER PIANO

102

bakeneko

5.0

ネタバレ喜劇と悲劇の分かれ目は

チェーホフ文学の精神を上手く凝縮して映画化したものであり、人間、人生、青春、希望、惰性、社会、芸術の本質を、叙情性で柔らかく包みながら、明確かつ優しく展開してみせてくれる作品であります。 チェーホフの死後に発見された若き日の戯曲『プラトーノフ』(父なし子)を下敷きにして、ニキータ・ミハルコフが独自の解釈で、チェーホフ的なエッセンスを見事に映画化した作品であり、その叙情性や演出手法、テーマ、映像美等が以後の彼の作品の典型となったものであります。 多くの群像が織り成す様々な“想い”と、散見される“人生の真理”を、ユーモアと暖かさで包みながら、転結点に向かって収束させていく演出は鮮やかであります。 そして、次第に明確になる“ほろ苦い人生の真実”と一日の喜悲劇の終末に、観客も劇中人物と一体となって深い感慨に耽るのであります。 夏のロシア郊外の、緑滴る風景や、夜景、花火、湖などがとても美しく捉えられており、“様々な問題があっても、世界は美しく存在する”ことも示してくれます。 そして、この映画のもう一つの素晴らしさは音楽であります。誰もが知っているオペラの名曲が重要なモチーフとして使用され、特に映像美&ドラマ的テーマとシンクロナイズする秀越さは絶品で、映画的興奮に満ちています。 また、本人を始めとして、ミハルコフ一家勢ぞろいの映画でもあります。 この映画か気に入られた方は、『黒い瞳』も大傑作でありますし、チェーホフの作品を読まれてみては! ねたばれ? この映画に関するYahoo&allcinamaの映画紹介の記述には、間違いが多すぎるような気がします(映画の感想はともかく、文学作品の出自についてはきちんと調べましょうよ)

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