結婚生活と仕事の両立とは?
- rup***** さん
- 2015年12月20日 22時44分
- 閲覧数 290
- 役立ち度 1
- 総合評価
マーガレット・サラヴァンとジェームズ・スチュアートが初共演したユニヴァーサル映画で、ジミーはこれが初の大役となる作品です。
勢いで結婚した若い夫婦が互いのキャリアを尊重するあまり、一緒に暮らすこともままならなくなり、次第にすれ違っていってしまう様子を追っていくほろ苦い物語になっています。
大戦の影響で女性を家庭に縛り付けるような価値観が復権する以前の戦前の作品であればこそのテーマで、女性が男性と同様に社会に出て働くことを前提として、既婚女性が第一線で仕事をする際の問題点を提起するような題材を取り上げています。キャリアを持った現在の働く女性が抱える問題にも結びつくような事柄が描かれているのが興味深く、先見性も感じます。
本作では、夫ジミーが新聞社の海外特派員、妻マーガレットが舞台女優という庶民的な一般人の生活からはかけ離れた仕事をしてるので、映画的な脚色は感じられますが、キャリアウーマンの仕事と家庭の両立の問題意識はしっかりと見て取れました。
最初、妻は昔演技の経験があったことから軽い気持ちで女優の仕事を始めます。そのうち、女優の仕事が軌道に乗ってきて、妻は自分の仕事に大きなやりがいを感じるようになってくる。夫がローマに特派員として栄転が決まっても妻は同行をしぶりますが、夫はそれを容認してしまう・・・。
その後、妻の出産を知り仕事を放り出して帰国して解雇された夫が意に沿わない仕事に就こうとすると、妻は、夫の元上司に掛け合って復職を実現させるのですが、夫の赴任先ははるか彼方のシベリアであった・・・。
このように、相手のキャリアに対する思いやりが自らの結婚生活の破たんを招く様子が綴られていき、すれ違いの夫婦生活に苦悩する2人の姿ばかりが目立つので内容的には重いのですが、テーマがぶれていませんし、マーガレットもジミーも演技がしっかりしているので、引きこまれて観てしまいます。
ただ、終盤で、ジミーが重い病にかかりやつれた感じをメイクで強調するような形で表現しているのは、まだ新人だなという印象は受けました。
また、ジミーの親友としてレイ・ミランドが出ていて、夫と距離ができてしまったマーガレットの心の支えになるとともに、秘かにマーガレットに思いを寄せる男性の役を演っています。
マーガレットに経済的な援助をしたり、やがては愛の告白をしたりするものの、典型的な二枚目といった雰囲気で横から割り込んでくるような図々しさがない分、後年のミランドのような存在感は感じられませんでした。
単に夫婦のあり方を描いたありきたりな内容ではなく、社会的な視点も盛りこんだ意欲作で、監督はDWではなくEHのほうのグリフィスですが、手堅くまとめています。
詳細評価
イメージワード
- ロマンチック
- 知的
- 切ない