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沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 (1995)

LA CEREMONIE/A JUDGMENT IN STONE

監督
クロード・シャブロル
  • みたいムービー 8
  • みたログ 91

3.48 / 評価:25件

沈黙が破られるとき

  • 一人旅 さん
  • 2016年2月14日 13時29分
  • 閲覧数 873
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

クロード・シャブロル監督作。

ブルジョワ一家の家政婦となったソフィーと郵便局で働くジャンヌの奇妙な友情と狂気を描いたサスペンス。
ソフィーとジャンヌは対照的な性格。ソフィーは読み書き障害がコンプレックスの寡黙で冷静な女。一方のジャンヌは変に明るい性格で、時々過激な言動を見せる。対照的な性格の二人が出会い、友情を育んでいく。ソフィーにとってジャンヌはただ一人の友人だ。雇い主の一家に接する時のソフィーの態度は物静かで、家政婦としての仕事を淡々とこなしているだけのように見える。だが、ジャンヌと過ごす時のソフィーはまるで別人。それぞれの過去を語り合ったり、ベッドでじゃれ合ったりして楽しそうに過ごす。ソフィーとジャンヌ、二人だけの閉じた世界がやがて狂気を生んでいく。ジャンヌの過激さと攻撃性がソフィーの心に伝染していくかのように、対照的だった性格の二人の心は接近し、一心同体のような状態になっていくのだ。
ジャンヌはソフィーの閉じた心を負の方向に解放する存在だ。読み書き障害を恥と思うソフィーの心に鬱積していく劣等感、不満や怒りの感情。それがジャンヌとの出会いをきっかけに、一気に外へと噴出していくのだ。歯止めの利かなくなった二人の凶行が恐ろしい。その描写は残酷でありながらも冷静だ。
人は皆何かしらのコンプレックスを抱えながら生きている。コンプレックスが強ければ強いほど、人にそれを知られることを極度に恐れる。ブルジョワ一家の娘・ミランダ(エドワード・ヤンの『カップルズ』で有名なヴィルジニー・ルドワイヤン!)が、良かれと思ってソフィーのコンプレックスに言及し、その克服方法を提示したとしても、ソフィーにとってコンプレックスを他人に知られること自体が死に値するほど耐え難いことなのだ。唯一心を許せる存在のジャンヌに対しても、ソフィーは自身のコンプレックスを絶対に明かさない。それほどまでに、ソフィーの抱えるコンプレックスは根深い。知ってしまう(知られてしまう)ことが罪ならば、もはやどうすることもできない。コンプレックスという禁断の領域に触れられる手前でコミュニケーションを遮断してしまうことで、ソフィーの心は平穏に保たれる。たとえ他人の良心や親切心がその一線を越えてしまったとしても、触れられたくない心の部分に触れられたことに対するソフィーの憎しみが、具体的行動となって表に出てしまうのだ。その手助けをするのが、唯一の友人であるジャンヌと言える。
そして、ソフィーを演じたサンドリーヌ・ボネールとジャンヌを演じたイザベル・ユペールの演技が素晴らしい。サンドリーヌ・ボネールは明と暗を巧みに使い分けた繊細な演技を見せているし、寡黙な演技派女優というイメージの強かったイザベル・ユペールの感情を極端に外に出した演技は新鮮だ。

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