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アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生 (1955)

ENSAYO DE UN CRIMEN

監督
ルイス・ブニュエル
  • みたいムービー 6
  • みたログ 17

4.38 / 評価:8件

殺せない男

  • 文字読み さん
  • 2008年11月30日 15時01分
  • 閲覧数 344
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1955年。ルイス・ブニュエル監督。幼いころのオルゴールの記憶から女性を殺すことにとりつかれてしまった主人公が、殺しに失敗し続けることで妄想から解放される映画。主人公の妄想がとるにたらないものだと暴かれていく過程を、まじめなんだかふざけているんだか分からないように撮っていておもしろい。

最初のきっかけは、少年だった主人公が聞く、オルゴールで好きなように人を殺すことができた王様の物語。途中で、語っている家庭教師の女性が死んでしまいます。少年はそれで物語を信じて「王様のような力をもちたい」と思うわけですが(同時に倒れた女性教師の足に魅惑されるというのは監督得意のフェティシズム)、それがそもそも感違い。女性の死は革命の流れ弾であって、物語の力ではない。その後の殺人はすべて「自分の力を試す」ために試みられて失敗していきますが、最初に受け取ったメッセージが間違っているのです。だからこそ、最後にオルゴールを池に沈めて「人生は単純だ」という主人公は幸福感に満ちています。物語への反逆。

殺す対象として4人の女性が登場していますが(誘う女、強い女、純情な女、癒す女)、その妄想のそれぞれが映画のパロディになっているようです(映画史の知識がないので、暗闇のミルクで明らかなヒッチコック「断崖」と、火のなかの女で明らかなジャンヌ・ダルク映画しか指摘できませんけど)。主人公の映画的妄想とはまったく関係なく彼女たちは死んでいく。1人生き残るジャンヌ的「強い女」は最初からハンカチをくるくる回していて、彼女だけが死を寄せ付けていないようです。主人公とは別に彼女たちの世界があるのだということが丁寧に描かれています(いくつもの部屋)。

足へのフェティシュというこの監督の一大テーマも、マネキンの足がはずれてしまうところでパロディ化されています。自分のそれまでの映画さえパロディにしているようです。

自分(の妄想=映画)とは関係のないところで世界が動いている。それを受け入れることが幸福なのだという、すばらしい映画です。オルゴールよさらば!幼年時代よさらば!

詳細評価

物語
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音楽

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