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危険な関係 (1988)

DANGEROUS LIAISONS

監督
スティーヴン・フリアーズ
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  • みたログ 500

3.68 / 評価:114件

「恋愛の政治学」

  • hoykita194 さん
  • 2009年2月27日 19時16分
  • 閲覧数 965
  • 役立ち度 12
    • 総合評価
    • ★★★★★

 原作は、フランスの作家ラクロ(1741~1803)の同名小説(1782)。

 この映画は、何度も見たくは、ない。でも、傑作である。

 背景は、18世紀後半の爛熟期のフランス貴族社会。
 原作発表の7年後に、フランス革命(1789年7月14日バスティーユ襲撃)が起こる。
 ラクロの「危険な関係」は、フランス貴族社会の末路を、まるで予見したかのようだ。

 「小人閑居して不善を為す」。
 「つまらぬ者は、ヒマになると、よからぬことをする」そうである。
 「ヒマ」は、貴族の特権である。
 よって、愚かな貴族は、そのヒマで、人目につきさえしなければ、危険な火遊びをはじめる。
 火遊びだから、下手をするとやけどをする。
 やけどで済めばいいが、まかり間違うと、焼け死んでしまう。

 というお話である。

 この映画を見ると、「不倫」ということばが、かわいらしく見えてしまうから、怖ろしい。
 メルトゥイユ侯爵夫人(グレン・クローズ )やヴァルモン子爵(ジョン・マルコヴィッチ)には、「不倫」という意識はまったくない。恋愛に倫理は存在しないのであり、完全にゲームだからだ。

 しかし、二人の破滅の原因は、じつは恋愛をもてあそんだことにあるのではない。恋愛はゲームであるはずなのに、その原則を彼ら自身が破ったからだ。つまり、本気が入り込んだことが原因なのだ。

 トゥールベル夫人(ミシェル・ファイファー)は、かわいそうな気もする。
 だが、もともと、子爵の悪い噂は、知らないわけではない。夫人がよろめいたのは、現在の夫との関係に何かミゾがあり、夫人なりに子爵に魅力を感じたからだろう。
 たとえ死の床で知らされたことだとしても、ヴァルモン子爵の愛が本物だったことは、夫人にとっては、かえって思いがけない幸福だったと思う。

 ヴァルモン子爵は、決闘で、何度もダンスニー(キアヌ・リーヴス)にとどめを刺す機会があったのに、決してとどめを刺さなかった。
 子爵が死を選んだのは、トゥールベル夫人への贖罪の気持ちもあったと思うが、それ以上に、夫人を本気で愛することの幸福を、知ったからだと思う。
 彼は、幸福感の中で、息を引き取ったにちがいない。

 恋愛をゲームだと考える人間は、楽しめるかもしれないが、幸福だとはいえない。
 恋愛の幸福は、愛されることよりも、愛することのほうが、はるかに大きい。
 だから、恋愛は、本気で愛したほうが勝ちである。
 相手が本気か遊びかは、本当は、あまり関係がない。
 なぜなら、恋愛は、損得勘定ではないからだ。
 ただ、相手が悪いと、破滅する。
 もっとも、そうなるのは、見る目がなかったわけで、責任の半ばは、自分にある。
 
 個人的には、ミシェル・ファイファーは、切れ味鋭い、知的な女性のほうが、似合ってると思う。

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