愛と魅惑の「エキゾチカ」
- 一人旅 さん
- 2016年12月11日 16時42分
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- 総合評価
アトム・エゴヤン監督作。
ナイトクラブ「エキゾチカ」の人気ダンサー、クリスティーナを巡る人間ドラマ。
カナダを代表する映画監督の一人、アトム・エゴヤンによる人間ドラマの佳作。群像劇と言うほどではないが、4人の登場人物(ダンサーのクリスティーナ、税務官のフランシス、クラブDJのエリック、鳥獣密輸販売者のトーマス)の愛と憎しみ、過去と現在が複雑に絡み合っていくさまはお見事。
基本的には、ナイトクラブの人気ダンサーであるクリスティーナを巡って、2人の男(DJのエリックと税務官のフランシス)が対立するというお話で、男の見苦しい嫉妬心や怒り、憎しみ、愛、優しさ、悲しみ、癒し...とさまざまな感情が渦巻いていく。それにくわえ、時系列の異なる意味の不明なショットを意図的に挟み込んでおり、そうしたストーリー上無意味な場面が持つ本当の意味を後半一気に明らかにさせていく、一部ミステリータッチの作劇。最後にすべての点と点が線となって収束していくさまは圧巻。女を巡る表面上の愛憎劇に終始せず、その背景(きっかけ)に迫るつくりであり、登場人物それぞれの過去と現在が綺麗に合致していき、最終的に過去の悲劇に縛り付けられた一人の人間の重層的な人生ドラマが浮かび上がる。
ジャングルをモチーフにした「エキゾチカ」の妖しげな雰囲気も秀逸だし、何より、クリスティーナを演じたミア・カーシュナーのエロティックな演技に魅了されること間違いなし。ハイスクールの制服姿で登場し、舞台上でくねくねセクシーダンスを披露する(ただし、ダンスのレベルは小学生!)。お色気カットも満載。客の前でネクタイを外したかと思えば、ブラウスを脱いでバストを露わにするという大胆さ。だが、客は目の前で誘惑してくるクリスティーナに一切触れてはいけない。それが「エキゾチカ」の絶対的ルール。完全なる生殺し。
そんな客にとっては我慢&我慢の状況下で、
「緊張しないで。2人で楽しみましょう。」
って、小娘にこんなこと言われる大の大人ってのも何だか哀しい。
とまあ、出演時19歳(!)のミア・カーシュナーが魅せる大人顔負けの妖演が一級品なのです。それにしても、たったの“5ドル”であんなことしてくれるなんて...良心的なお店だなあ。
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