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欲望の街・古惑仔 II/台湾立志伝 (1996)

古惑仔2之猛龍過江/YOUNG AND DANGEROUS II

監督
アンドリュー・ラウ
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3.00 / 評価:7件

魅力半減のシリーズ第二弾

  • lamlam_pachanga さん
  • 2010年7月31日 18時52分
  • 閲覧数 631
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

『欲望の街 古惑仔?/銅鑼湾の疾風』に続く、通称「古惑仔(こわくちゃい/チンピラ)」シリーズ第二弾で、ナン(イーキン)を中心に話が展開した前作から、その途中で台湾に渡ったサンカイ(小春)に焦点を当てた物語。悪タレ仲間の青春劇であった一作目と違い、本作はほぼ純粋な黒社会抗争劇(香港ノワール)を描いており、彼らの前に立ちはだかる敵も前作のカン(フランシス・ン)から、台湾黒社会の三連会や、同じ洪興社のフェイ(アンソニー・ウォン)へスイッチ。更に、新たなヒロインとしてサンカイの恋人役にヨウ(チンミー・ヤウ)を登場させる等、方々に続編映画らしいパワーアップが図られています。

結論から言いましょう。

アンドリュー・ラウの野心作とも呼べた前作は、賛否は別にして、従来の香港映画には見られなかった演出が鏤められていました。後に彼の特徴ともなるスタイリッシュな映像、矢継ぎ早のカット割等は、あの映画の大ヒットと共に確立されたと言えるでしょう。それにも増して、イーキン・ツェンと小春のふたりがいたことで、チンピラ映画として以上に青春映画としても楽しめるものがありました。ところが本作は、上記の通り外見的増強は施されても、映画の中身は逆に王道(ベタ)路線に落ち着いてしまった感があります。

別に面白くないと言うわけではないんです。

むしろ、王道的香港ノワールに立ち返った本作は、私の個人的趣味としては一作目よりも好感を持つくらい。ただ、ラウ本人にしろ俳優陣にしろ、経験が浅い人間が為せる「冒険」や「若々しさ」と言う魅力が半減してしまっています。

これは、恐らくは本作が「計算の上で」撮影されているから。

ヒットした作品のコピーは、香港映画界の十八番。

その悪しき方程式に沿って組み立てられた続編には、この映画で儲けようとする製作陣の狙いこそ窺えても、この映画で何かを起こそうとする気概は感じられません。

前作から僅か3ヵ月後には劇場公開された本作。

その企画自体もいい加減だったのだろうと想像されます。

この映画、企画段階にして前作半ばで姿を消したサンカイの行動を追うと言うアイデアが先行し、フェイとの抗争やマカオでの一件がなおざりにされた印象は拭えない。当時の香港映画界でよく指摘されていた脚本の稚拙さと言うものがよく表れています(そんな映画は枚挙に暇がないけど)。

ラウの演出にも、後の悪癖となる「無駄なエピソード作り」が垣間見えます。経験の浅さ(これが監督第三作目)なのか、元々そうなのか、或いはその両方なのか。サンカイが香港へ帰還後(前作終盤の一件)、その傾向は一気に強まり、短尺にも係わらず冗長感を漂わせてしまいます。

そもそも、前作の魅力は主演ふたりのスター性と、ラウが手掛けた野心的な演出にありました。なのに、ヒットのおこぼれを狙った本作では、そのどちらもが王道(ベタ)に落ち着いてしまい、没個性的なよくある香港ノワールと化しています。

この結果は、映画の作り手としては本末転倒と言えるでしょう。

遊び心のつもりでしょうが、このシリーズが何かと比較された『男たちの挽歌』に登場する、有名なユンファ討入りのシーンをパロったりしてる場合じゃないんですけどね(苦笑)

『欲望の街 古惑仔?/台湾立志伝』の見所は、サンカイ自身が語る台湾での経緯と、フェイを演じたアンソニー・ウォンの怪演だけ。特に後者は、前作でキレキレのハイ・テンション演技を魅せたフランシス・ンを凌駕するくらい、別に意味でのキレキレ振り。アンソニー・ウォンは、本当に凄い役者ですよ(笑)

前作と比べ、映画的にも副義的にも観る価値が減少しているのは仕方ないのかな。

結局は「二番煎じ」と言うことです。

「青春映画」の看板は剥がれ落ち、単なる「抗争劇」と化した続編。

それはそれで楽しめますが、それも推して知るべし、です。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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