芸達者な2人の子役スターが活躍
- rup***** さん
- 2016年1月24日 23時02分
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トーマス(トム)・エジソンの少年時代を描いた作品。
ヨーロッパでは第二次大戦が始まり、この頃はアメリカも愛国的な題材を取り上げるようになっていて、本作も自国の偉人伝という一種のお国自慢のような内容ですが、テンポよくいろいろなエピソードが語られていくのが今観ても楽しめる要素になっています。
トムを演じているのが当時MGMを代表する子役スターのミッキー・ルーニーで、いつものパワー全開のアクの強さを抑えぎみにして演じていて好感が持てます。
前半は、トムが学校で薬品の実験をして煙を出し火事騒ぎにまで発展する話や、ひょんなことから列車の売り子になり、車内でニトログリセリンを調合してしまいこれまた乗客を巻き込んでの爆発未遂騒ぎを引き起こす話といった、トムの好奇心が引き起こす騒動で町の人々に迷惑をかけ、トムが町の厄介者のような扱いを受けるようになってしまうエピソードが語られていきます。
そんなトムを優れた才能の持ち主であると信じてやまない母親の存在があり、観ていて微笑ましくなってきます。母親がトムを溺愛しすぎのようにも思えてしまいますが、この母と息子の絆が終盤で母親が倒れて緊急手術が必要となるくだりで、トムが母親を助けようと必死になるエピソードにうまく繋がっています。
トムの母を演じているのは、母親役で観ることの多いフェイ・ベインターですが、本作ではとりわけ印象深い存在になっていました。
そして、母親が倒れたエピソードが山を越えるやいなや、畳み掛けるように、鉄道橋が壊れたことを電信線が切れて走行中の列車に伝えられなくなるという事件が発生し町中が大騒ぎになるという大きな見せ場を作っているので、最後までダレることなく飽きずに観ることができます。
父親役のジョージ・バンクロフト、列車の車掌役のユージン・パレットというベテラン俳優がうまく持ち味を発揮していますが、特筆すべきは、トムの妹役を演じたヴァージニア・ウェイドラーで、ルーニーに負けないほどの達者な演技で本作をより活気のあるものにしていました。
ヴァージニアは、同年の「フィラデルフィア物語」でも、キャサリン・ヘプバーンの妹役で大人顔負けの演技でしたが、本作はそれ以上の活躍で、ルーニー&ウェイドラーの兄妹コンビが本作の魅力の大半を担っているように思います。
監督が戦前は子ども映画の名手と謳われたノーマン・タウログなので、子役を生き生きと描き出すすべを心得ていて、本作でもその演出力が十二分に発揮されていました。
なお、The Endが出た後に、エジソンの肖像画を見つめるスペンサー・トレイシーの姿を映し出して、続編である「人間エヂソン」の宣伝をしているのもちょっと変わっていて面白かったです。
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