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奇跡 (1954)

ORDET/THE WORD

監督
カール・テオドール・ドライエル
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4.38 / 評価:21件

宗教は嫌いだが、“奇跡”は嫌いじゃない

「奇跡(御言葉)」の題でも知られる作品。
俺個人は宗教を否定する「怒りの日」の方が好きだが、この作品が「裁かるゝジャンヌ(裁かるるジャンヌ )」に並ぶドライヤーの最高傑作である事は確かなのだろう。
「裁かるゝジャンヌ」は神格化されたジャンヌ=ダルクを一人の人間として描き抜いたが、この映画に起こる奇跡は神の仕業か、あるいわ人の言葉が起こした奇跡なのか。それは見る者に委ねられ、その瞬間を貴方はワクワクしながら待てるのか、あるいわ苦痛を伴いながらも待てるのか。
少なくとも、劇中の人間たちの神に対する信仰は何処か薄い。
丘を登り神のお告げか何かを待つもの、それを諦めてくれる事を待つもの、家族の帰りを待つもの、希望と焦りを抱えながら医者を待つもの、荷物を運ぶためにその時を待つ漆黒の馬車、椅子に座って最後の別れあるいわ奇跡を待つものたち。時計の針も誰かが再び動かしてくれる事を待っている。

のどかな農村風景、動物の鳴き声でいつものように起きる人々。青年が窓を開けると、小高い丘に階段で登っていく男の後ろ姿。
青年たちは丘を登った男の後を追い、それを窓から見守る家族。風でなびく丘、そこから見下ろすように何かを語り始める男。男は部屋の中でも火の灯された蝋燭を持ち、同じような語りを続ける。それを優しくそっと消し、家族にコーヒーを振る舞う。どうやらこの光景は家族にとって日常風景になってきているらしい。
彼はこの後も何度も何度も同じような語りを繰り返す。その積み重ねが奇跡へと繋がる。
蝋燭は室内を照らすため、死者を弔うため。

凶事を知らせる馬車の疾走。

哀しみが満ちた空間、馬の嘶きが時間の経過を伝える。薄いカーテンが窓から注ぎ込む強い光を和らげる。
重く結ばれた指がある“言葉”によって開かれる瞬間・・・!少女の唇も微笑を浮かべ、重く沈んでいた眼に光が蘇る。

冒頭でも神か人間の奇跡かは観客に委ねられると書いた。
ただ、俺個人は人間が起こした奇跡だと信じたい。たとえ本当に神様がいたとしても、その言葉を伝えられるのは人間だけなんだから。時計の針を動かし生命を与えられるのは・・・。

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