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北の橋 (1981)

LE PONT DU NORD

監督
ジャック・リヴェット
  • みたいムービー 5
  • みたログ 71

3.43 / 評価:14件

パリの街をさまよう“スクラップ&ビルド”

  • 一人旅 さん
  • 2017年1月31日 18時37分
  • 閲覧数 309
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

ジャック・リヴェット監督作。

パリを舞台に、元テロリストの女と空想癖の若い女の奇妙な冒険を描いたミステリータッチのドラマ。

傑作『セリーヌとジュリーは舟でゆく』のジャック・リヴェット監督による一風変わった作品で、元テロリストで閉所恐怖症の女マリーを『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』『天使が隣で眠る夜』のビュル・オジェが演じる。マリーと行動を共にする若い女バチスト役はエリック・ロメールの『満月の夜』のパスカル・オジェ。26歳を目前に急死(オーバードーズの説あり)したパスカル・オジェが実の母親(ビュル・オジェ)と生前唯一共演を果たした作品でもある。実の親子だが、顔立ちは似ていない。微妙に目元が似ているが、顔の輪郭や鼻筋は全然違う。ビュル・オジェの見た目が若々しいので、言われなければ親子だと気付かないかもしれない。

本作は、1980年のパリを舞台に、ふとしたきっかけで出会った元テロリストで出所したばかりの中年女マリーと若い女バチストが、パリの街を“すごろく”に見立てた謎の地図を入手し、街のどこかに眠る宝を求めてさまよう...という【風変わりな二人の女の実物大すごろくの旅】をヌーヴェルヴァーグ的即興演出+ミステリータッチ+ファンタジックに描いた冒険譚。正直、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』が傑作過ぎたため、ファンタジー色&奇想天外レベルの薄い本作は比較的地味で、作品全体の出来も『セリーヌ~』には遠く及ばない。

ただ、型にはまらないストーリー展開はリヴェット流であり、二人を付け狙うマックスと呼ばれる謎の男(何人もいる)の存在が物語に変な緊張感をもたらしているし、“すごろくの旅”と言っても本当に宝が存在するのか明示されないまま見切り発車的に始まるため、鑑賞者にとっては始終情報が不足したまま二人の奇妙な冒険の顛末を見届けることになる。“わけの分からなさ”は物語の進展とともに加速していき、呆気に取られる&もはやギャグ、な結末に“やられた”感に襲われる。

とにかく、バチスト役のパスカル・オジェが異彩を放つ作品でもある。バチストは空想癖に憑りつかれた変わった女で、巨大な滑り台を火を吹くドラゴンと認識して退治しようとしたり、街中に貼られたポスターを次々切り刻むという奇行を披露する。また、時おり見せる空手の型がシュールで、ふらつきながら攻撃力ゼロの回し蹴りを繰り出す場面の空気のゆるさと言ったらもう…。空想がある種の創造であるとすれば、未来を拒み過去に固執するマリーは破壊・破滅。マリーとバチスト。スクラップ&ビルド。それは物語が進むにつれ存在感を増していく瓦礫・廃墟の寂れた映像と重なる。マリーが辿る末路は、予め決められた“運命”なのだ。

リヴェットらしい現実と空想がない交ぜにされた独特の世界観を味わえる一品。『セリーヌ~』ほどのキレはないが、オジェ親子の共演は貴重である。

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

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