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妖怪屋敷

bakeneko

5.0

ネタバレ仮面の人物の正体は?

オーウェン・デイヴィスの舞台劇の映画化作品で、遺産を狙う人物達が集まった故人の屋敷での、サスペンス&謎解き&最後に残るのは…にハラハラさせられるスリラーの古典であります(バーバラ・ベッドフォードが可愛い!)。 ベンヤミン・クリステンセン監督について-Yahooレビュー項目には、映画と言うよりは大学の講義の映像資料と言った方が良い変則的な作劇の「魔女」や、低予算映画「竜宮城」を始めとしたアメリカ時代後期のB級アクション作品くらいしか紹介がありませんが、デンマークで撮った「密書」や「復讐の夜」はサスペンスフルな傑作ですし、アメリカ時代の初期にも「嘲笑」等、優れた葛藤劇を演出しているデンマーク映画の先駆的監督であります。 その目まぐるしい生涯を簡単に述べますと…、大学時代に医学を修めた後、オペラ歌手(カルーソーからスカウトされた逸話があります)、セールスマン、映画俳優を経て映画監督となり、1925年にMGMと契約し渡米。MGMに続いてファースト・ナショナル社で一連のホラー・コメディを撮って1929年に一時帰国後再び1930年にアメリカに戻るが、大不況により映画製作が困難になり1935年に再帰国。そして、1939年から1942年までデンマークで映画監督として活動し、晩年は映画館を経営した-という波乱万丈の人生でありました(はてなダイアリーより)。 で、早速yahooのレビュー項目にない作品のレビューを… お尋ね者は行儀よくドアから入らなくてもいいもんね! 「復讐の夜(Hævnens Nat:)」(1915年デンマーク100分)主演:ベンヤミン・クリステンセン、カレン・カスパーセン 一軒家の豪邸中での光と闇を駆使した“かくれんぼ&追いかけっこ”演出が光る“クライムサスペンス&人間ドラマ”の力作で、脱獄中に匿うと約束しながら捕縛させるきっかけを作った女性の家に、後年になって復讐すべく侵入した不幸な男と恐怖におびえるヒロインのスリラー劇となっています。 主役の脱獄囚を監督のベンヤミン自身が演じて“不幸な男の足掻き”を体現していますし、ヒロインのカレン・カスパーセンは可憐な“守ってあげたい”女性像を作り上げています。そして、夫、息子、悪漢、主人公が属していたサーカスの仲間達…の心理&行動もしっかり描かれています。また、冒頭に映画のお話が始まる前には、監督&女優に依る“豪邸の間取り構造説明”もありますので“どこをどう逃げているのか”がはっきりと分かってサスペンスを盛り上げています。 現在youtube等に揚がっているバージョンは英語&染色版で、場面に依って切り替わるカラ-や凝った字幕(挿絵つき)も愉しむことが出来ますよ! ねたばれ? 1、銃が沢山置いてある公爵家だなあ~ 2、字幕に書かれている“目隠しをして天秤を持っている女神像”はギリシア神話の女神テミス(またはローマ神話の女神ユースティティア)英語名ではLady Justiceで、欧米では裁判所や大学の法学部の入口に置いてあります(法曹界の二宮金次郎像ですな)。 普段からそんなに着飾らなくても… 「嘲笑(Mockery)」(1927年アメリカ79分)主演:ロン・チェイニー、バーバラ・ベッドフォード ベンヤミンのアメリカ時代の作品で、“千の顔を持つ男”ロン・チェイニーの“伝説の顔芸”を強烈なサスペンス作劇の中に観ることが出来る“歴史スペクタクル&人間葛藤劇”の佳作であります。 ロシア革命を舞台にして、無知な農民の主人公が身分を秘匿して敵中突破を計る伯爵夫人を手助けしたことから生じる双方の心理的変化と葛藤の顛末を、価値観&身分制が逆転していく革命内戦の中に活写した作品で、2つの身分の相互不信と葛藤、そして最終的決着をハラハラしながら見つめる映画となっています。 主人公のロン・チェイニーの感情的な演技vsヒロインのバーバラ・ベッドフォードのクールな美貌が好対照を成していて、「ノートルダムのせむし男」のロシア革命版ともいえます。 赤軍=革命軍vs白軍=旧ロシア軍の対決のモブシーンの迫力と、主人公とヒロインの息詰まる精神葛藤の両方でドキドキさせてくれる作品で、アメリカ映画らしく白軍=旧ロシア軍に好感を持つ視点も、いつもの“ロシア革命もの”を裏面から観る感覚をもたらしています。 ロン・チェイニーの演技とベンヤミンの演出が相まって創り上げる“登場人物の心境がどっちに転ぶか分からない”緊張感を存分に味わえる異色娯楽作であります。 ねたばれ? 赤軍vs白軍の攻防の舞台となっているノボクルスク(Novokursk)はモスクワ近郊の街であります(やがて赤軍側が全権を掌握します-伯爵夫人は早く逃げないと!)。

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